編集後記


2013年05月20日(月) [長年日記]

緩和ケア病棟での観望会(今年1回目)

今年の、姫路聖マリア病院緩和ケア病棟での観望会第1回目。

今回の参加者は、患者さん1名、病院スタッフ2名、病棟ボランティア1名、天文ボランティアはリーダーのOさんをはじめとする5名。

観望機材は、私の8cm屈折(FL-80S+ポルタII)、もう一人のOさんが持ってきたのはボーグだったかな、さらに15センチ自動導入シュミカセ。病院に備え付けのコルキットも。

いつものように、患者さんのペースに合わせてゆるゆるのんびりと進行します。よく知った仲間同士の内輪の観望会のように、スタッフも参加者もなく一緒に楽しんでいます。

心配した天気も、昼間はすっかり晴れ。暗くなるとまた薄雲がかかってきましたが、上弦を過ぎた月や、土星を中心に見ていただきました。15センチがあるのに気を良くしてアルギエバを導入しましたが、すこしマニアックだったか(^^; 喜んでいただけましたけども。

患者さんは自力歩行できる方だったので、望遠鏡を覗いてもらうのに苦労はありませんでした。 いつもだと車椅子やベッドに寝たままの参加が多く、ベッドの場合は首を動かすこともできなかったりして苦労します。「酸素足りてる?」「ボンベもう一本あるから」みたいな看護師さんの会話にももう慣れました。

15センチシュミカセを持参されたのは、今回ボランティア初参加のIさん、1年前、ご家族の付き添いで緩和ケア病棟に寝泊まりされていた時に観望会に参加され、以来目覚めてしまわれた方。はりま宇宙講座の6期生、そう、先日紹介したあの人です。案内人としても今回がデビューだったようです。

Iさん、いわゆる「天文歴」1年なのにそうは見えないアクティブさ、いきなりこんな大きな望遠鏡を買い、地元の同好会にも入り、西はりま天文台にも積極的に出入りし、たちまちたくさんの星仲間を作り、パンスターズ彗星も「あれが期待はずれなんて嘘でしょ」と言わんばかりに一杯見て一杯写真を撮って、アイソン彗星も今から観測計画を立てて手ぐすね引いて待ち構えられている様子。

1年前にご家族の付き添いで参加された、つまり、今は、ご遺族なのです。あの時、数か月後の次の観望会も来ていいのかとボランティア・コーディネータの方に尋ねておられたのを覚えています。一見何気ない問い合わせのようですが、ここでは将来の約束はいやでもある覚悟を強いるもの・・・

でも、そういう重さを全く感じさせることもなく、とても明るくふるまわれ、すっかり天文ボランティアの仲間の一人としてなじまれていました。星を見ることが、患者さんだけでなくご家族のケアにも役に立つ。ホスピス観望会に参加してよかったと思うことの一つが増えました。

もっとも、Iさん、ちょっと行き過ぎちゃった感もありますが・・・(汗


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