金環日食限界線研究会のミーティングが京都市立洛陽工業高校でありました。22日、23日の2日間で、22日は主に地域グループ、チームR、チームMの報告、23日はチームBの報告です。私はさすがに23日は仕事なので、自分と直接関わりのある22日のみ出席しました。
チームR(日食メガネによる等倍観測での限界線付近での見え方)は、もちろんまだ解析途中ですが、とてもいい結果が出てきています。チームのコアメンバーによる基本的な解析方法は、限界線と各観測地点の距離を測り、距離ごとに、金環に見えた報告の割合を求めるものです。これを距離を横軸、割合を縦軸にしたグラフにして、限界線の外から内へたどってみると、最初はほとんどゼロだった割合が、相馬-早水線で一気に、ほとんどの人が「金環になった」と報告した割合になります。*1
すると、マスコミあたりは「相馬-早水線がNASAに勝った」みたいな取り上げ方をしそうですが、ミーティング出席者の間では「それはちょっと違う」というのが大方の認識です。そもそもパラメータが違う=限界線の定義が違うわけで*2。
実は、相馬-早水線のすぐ外側の数キロの範囲でも、「金環に見えた」割合が高くなっています。実はあまり綺麗なグラフにはなっていません。NASAの限界線あたりから割合が高くなるようです。いわゆる「かすり日食帯」になるでしょうか。
いくつかの地域グループの発表でもいい結果が出ていますが、これらも含めて、報告には、観測者のバイアスが存在する可能性(たとえば限界線が通る位置を事前に知っていることの影響、一緒に観測した人の言動の影響=たとえば学校で先生が「つながった!」と叫んだら生徒の報告にどう影響するか=)や、精度の悪そうなデータの扱い(綺麗な結果に合わない報告を除外するのが適当かどうか→どんな観測でも避けられない事。除外したデータについて、なぜ除外したか明確な理由が必要)などの課題もあり、これらについて深くて熱い議論がかわされました。