1泊2日の予定でふくださんと呉・広島へ。
広島市こども文化科学館では、開館30周年を記念して、「夕凪の街 桜の国」を投影していました。
こうの史代さんの名作「「夕凪の街 桜の国」を原作としたプラネタリウム特別番組。5日までということで、最終日にこれを鑑賞するのが今回の主目的です。
1日目は、まず呉へ。大和ミュージアムとてつのくじら館を見学しました。
呉駅で列車を降り、大和ミュージアムのある南へ歩きます。
いきなり右手に潜水艦がどーん。てつのくじら館の目玉展示です。
それはあととして、大和ミュージアムへ。
大和がどーん
すみません、ごめんなさい。こんな迫力のあるものとは思いませんでした。実物の1/10サイズでできるだけ詳細に再現された巨大模型です。
「呉の歴史」展示室は、呉開港から、戦前の軍港、海軍工廠としての発展、戦後の復興と造船業を中心とした発展を俯瞰できる内容になっていました。
大和関連の展示では、沖縄特攻時の乗組員の一部の名前と写真が貼り出された一角があります。名前の横に「戦死」「生還」と書かれた文字が胸を打ちます。
大和を挟んで反対側の大型資料展示室には、回天、海龍、零戦の実物が置かれています。これ、全部特攻兵器です。かっこいい?乗ってみる?ハッチを閉めたら二度と出られんよ。
三階の映像シアター「未来へ」コーナーでは、大和の建造プロセスのビデオと、JAXAの「きぼうの、その先へ~未来への扉~野口宇宙飛行士ISS長期滞在」の二本立てで上映していました。
唐突な感じがしますが、3人の名誉館長のひとりは、呉出身の的川泰宣先生です。 ビデオは大和に代表される軍艦の工程管理などの生産技術の進歩が戦後の造船業の発展に寄与したという話。その先として、ISS、「はやぶさ」、また、JAMSTECの探査船「ちきゅう」がパネル展示で紹介されています。
場外に出て、潜水船「しんかい」と水中翼船「きんせい」。
「しんかい」は子供の頃の図鑑でよく親しんでいました。実物を見るのはもちろん初めてです。
大和波止場。大和の実物大の大きさをタイルで示しています。実に大きい。
九七式徹甲弾
大和主砲弾です・・・・って、おい!いいのかそんなものにつかって*1。車が衝突すると爆発して・・・・(嘘*1 もちろん作り物です。
正面に展示されている潜水艦がとにかく目を引きます。街の中に潜水艦。
なんとも不思議な光景です*1。
この潜水艦はSS-579「あきしお」。「ゆうしお」型の7番艦で1986年に就役、2004年除籍となり、呉資料館に展示されました。同館Webサイトの説明によれば基準排水量2,250トン、乗員75名*2。
館内に入ると二階の展示室へ案内されます。
いきなり、機雷が空中に!
表に展示された潜水艦が印象的なので潜水艦のみの展示をやってそうに思ってしまうのですが、最初の展示は機雷と掃海です。戦後の日本沿岸の機雷を除去した航路啓開業務と、湾岸戦争時の掃海任務についての展示です。
特に航路啓開業務は、あまり知らない人もいるかもしれませんね。
戦時中、日本の沿岸には、日本軍と連合軍の双方が大量の機雷を敷設しました。終戦後も多数の機雷が残され、時折触雷事故を起こして多数の犠牲者を出しています。
最近も、神戸港で機雷が発見され、港外で処分されたのは記憶に新しいところです。日本の降伏直後から、この残留機雷の対策が、連合軍と日本にとって重大な課題となりました。
そこで、旧海軍の掃海部隊は、終戦後も、GHQの命令により、武装解除の上で日本沿岸の掃海任務につくことになったのでした。
掃海業務は、複数の省庁の間で所管が移動したあと、海上保安庁、そして現在の海上自衛隊へと移ります。朝鮮戦争中には、秘密裏に朝鮮半島沿岸に派遣されたこともあり、殉職者も出しています。
資料としてはこの辺か。→[PDF]海上自衛隊:航路啓開史、航路啓開業務について。
この展示がここにあったとは知りませんでした。
続いて三階へ。ここが潜水艦のフロアになります。潜水艦のしくみと艦内での生活が中心の展示。しかし、ふくださん指摘の通り、どんな任務についているかの説明はほとんどありません。2階の掃海業務の展示とは対照的です。やっぱり極秘事項なのでしょうか。
居住室の一角を再現した展示があります。三段ベッドが置いてあります。寝て構わないという案内に従い、ふくださんがベッドに潜り込みますが、なんとも窮屈そう。
いよいよ目玉展示である「あきしお」の艦内へ。公開されているのは士官の居住区と発令所。また発令所の床の一部がガラス張りになって、階下の魚雷発射管室が覗けるようになっています。巨体のうちのほんの一部の公開です。
とにかく狭い。
これ、士官室です。展示室の三段ベッドは実は士官室を模したもののようです。
艦長室にしてからがこの狭さ。
そして発令所。見学者がすし詰めで撮影もままなりません*3。
外に出て再び大和ミュージアムの方へ回ると、隣の岸壁に瀬戸内海汽船のフェリーが接岸するところでした。狭いところで豪快に180度旋回を決めてくれます。車で言えば四輪ドリフトしているような際どい操船です。
やっぱり船はいいです。
夜は呉の駅前のビジネスホテルで一泊。「もっと安いところを探してたんですが無くて」とふくださんは恐縮していましたがなんのなんの。
街のあちこちに「海軍グルメ」のパンフが置いてあります。市内の飲食店で、明治・昭和の海軍の料理を復刻して提供しているとのこと。
要するに、オムライス、カレーライス、カツレツなど、定番の洋食メニューです。もちろん肉じゃがも。
せっかくなので、今夜の夕食は「海軍グルメ」で決めることに。検討の結果、駅前の喫茶店で「戦艦大和のオムライス」をいただきました。