国立天文台三鷹キャンパスの特別公開「三鷹・星と宇宙の日」に行ってきました。そこで、普段は外観の見学しかできない太陽塔望遠鏡の中に入ることができました*1。
もっとも、常時公開されている施設さえ、関西の人間はそうおいそれとはいけないものですが。
外観。建物全体が植物に覆われています。
入ろうとするといきなり脅されます。
建物全体が一つの巨大な望遠鏡です。
いきなり反射望遠鏡の鏡筒に入ったような光景。
「入ったような」どころではなく、実際に建物の塔部分は、48cm F45.8(!)カセグレン式反射望遠鏡の鏡筒そのものなわけで。これが主鏡。
こっちが副鏡。
で、ここに導かれて隣の部屋へ。
隣室は分光室となっていて、ここで分光して測定します。
幸運にもスペクトルを見ることができました。実は見学した時は太陽追尾ができない状態だったそうで、ちょうどこの時間しか太陽光を導けなかったとか。
次に塔を上って行きます。カセグレン望遠鏡の主鏡セルからトップリングへ向かう感じ。
また脅されます。
もっと登って行くと・・・・
もっと脅されます。
確かに手すりが低いので。
覗き込んでみました。
高所恐怖症な人にはお勧めできません。
てっぺんのドームにたどり着くと、そこには大きな2枚鏡、シーロスタットがありました。
60センチシーロスタット。下側の鏡で最初に太陽光を受け、上側の鏡で階下のカセグレン主鏡に導きます。下側の鏡で太陽を追尾し、上側の鏡は固定です。
この太陽塔望遠鏡、アインシュタインの一般相対性理論が予言する、太陽の光が太陽の引力によってわずかにスペクトルがずれる「重力赤方偏移」という現象を検証するのが目的でした。ドイツにある同じ目的の観測施設「アインシュタイン塔」から、国立天文台の施設も「アインシュタイン塔」と呼ばれます。
重力赤方偏移の検出は残念ながらできませんでした。精度が足りなかったのではなく、太陽表面の複雑なガスの対流で引き起こされる波長のずれ(対流青方偏移)が邪魔をしたのでした。
本来の目的は達成できませんでしたが、その他の太陽の観測で成果を挙げ、1968年に観測終了、1998年7月に国の登録有形文化財に指定されています。
*1 2010年からは案内付きで内部見学ができるようです。