編集後記


2011年06月12日(日) [長年日記]

講演会「はやぶさは流れ星になって帰ってきた」

6月13日は「はやぶさ」帰還から1周年にあたります。それを記念して全国各地で講演会などがいくつも開催されています。

明石では、天文科学館の主催で、特別講演会「はやぶさは流れ星になって帰ってきた」が今日開催されました。

場所は、天文科学館ではなく、駅前、国道2号線沿いにある明石市民ホールでした。

講師は星景写真家として知られる大西浩次さん。「はやぶさ」帰還の時にはウーメラまで迎えに行ってこられました。ちょうど今、天文科学館で大西さんの天体写真展「時空の彩」を開催中で、大西さんが撮影された「はやぶさ」再突入時の写真も大きく展示されています。

「はやぶさ」の概要の紹介に始まり、ウーメラでの再突入観測の話、そして、観測データの解析の話。

大西さんは、別にただきれいな再突入写真を撮りに行ったわけではないのです。

流星は、砂粒のような小さな流星物質が大気圏に突入し、大気の分子と衝突して発光する現象です。「はやぶさ」は、構造や組成、突入速度などがあらかじめ分かっていますから、その再突入に伴う発光現象を観察すれば、天然の流星の構造や組成を解く鍵が得られます。

そんなわけで、国立天文台は観測隊を送り、大西さんもその一員に加わったわけです。

その時の研究成果の一端はこちら。→ 研究結果:はやぶさ探査機の大気圏再突入の地上観測(国立天文台)/p>

すごく興味深い話を聞くことができました。

「はやぶさ」本体は、再突入時、数回にわたって爆発し、青やオレンジと色を変化させていきました。この色の変化は、一般にイオンエンジンの燃料のキセノンや、搭載していたリチウム電池の色であると説明されています。

ところが、分光観測のデータを解析すると、これらは「はやぶさ」本体の発光ではなく、どうも大気中の窒素の発光ではないかとのことです。本体ももちろん発光したはずですが、それよりも窒素の発光の方が圧倒的に明るかったようだ、とのこと。

普通の流星も大気中の窒素分子の発光が大きいそうで、まさに「はやぶさは流れ星になって帰ってきた」のです。このタイトルは決して感傷でも何でもなかったのでした。

資料としてもらった、RikaTanの大西さんの連載のコピーにも同様の内容がありました。ちなみにこのコピー、「はやぶさ」分光観測だけでなく、連載の1回から15回まで全部揃っていて、読み応えがあります。

NHKのニュースでも流れました。→ はやぶさ帰還1年の記念講演 - NHK兵庫県のニュース

映像無くてよかった・・・・(^^;)


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