編集後記


2010年07月25日(日) [長年日記]

南アフリカと天文学」(サイエンスカフェはりま)

久しぶりにサイエンスカフェに参加。

サイエンスカフェはりま。第8回は、姫路城の西にある町家カフェで開催されました。ゲストは神戸大学大学院の高橋隼(じゅん)さん。高橋さんは南アフリカに5ヶ月間滞在し、観測活動と同時に、同天文台の対社会活動に関わってこられました。今回のサイエンスカフェはその社会活動についてのお話を聞きながらということになります。

高橋さんは高校時代から障害者支援の市民団体に参加され、大学卒業後もその団体で働かれていました。そこで障害者支援に取り組むアーティスト達と知り合い、自分たちの好きな芸術を通して障害者に接する彼らの姿に共感します。アーティストにとっての芸術は自分にとっては天文学であると考えた高橋さんは大学院に進学、天文学の習得と研究をすすめながら、天文学を通しての社会への関わり方について考えられています。前回のホスピス病棟の観望会にも来られていました。

南アフリカ天文台(South African Astronomical Observatory; SAAO)は、本部をケープタウンに、主要な観測施設をサザーランドに置いています。サザーランドには口径11メートルの南アフリカ大型望遠鏡(SALT)の他13台の望遠鏡があります。それらには南アフリカだけでなく世界各国の観測施設も含まれます。名古屋大も望遠鏡を置いています。SALTもアメリカ、ドイツ、ポーランド、インド、イギリス、ニュージーランドの協力の元に運営されています。

南アフリカ天文台には対社会活動のための部門があり、ケープタウンとサザーランドを中心に、観望会や出前講義などを盛んに実施しています。10センチドブソニアンを担いで夜の山に登り、天頂で登山者に星を見せる「極限の天文学」なる活動もあります(望遠鏡を担いでの登山は他の登山者にも「クレイジーだ」と言われたとのこと)。かなり積極的に社会への働きかけを行っているようです。部門のリーダーが若いのに切れ者で、資金なども巧みにかき集めているようです。

高橋さんのレクチャーの最中に参加者からもいろいろ質問が飛び(2,3の決まった人に集中していたのが気になりましたが)、高橋さんの持ち時間だけでほとんど時間を一杯に使ってしまったようです。

参加者の議論は、最後にはアフリカの歴史や現状の問題の方へそれて、もとい、発展していきました。私としては、もう少し天文学と社会の関わりを自分たちの問題として踏み込んだ議論になるとよかったのですが、参加者のほとんどは別に観望会だの展示ボランティアだのをやったりしているわけではありません。懇親会までいればよかったかな。


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