編集後記


2008年08月31日(日) [長年日記]

サイエンスカフェ岡山「宇宙の中の地球」

昨年から始まったサイエンスカフェ岡山の今年度第一回目が開催されました。通算では第9回になります。今回はスタッフの一人として参加してきました(なにもしてませんが)。

総合グラウンド クラブハウス

会場は、岡山県総合グラウンドのクラブハウス内にある「キューティーパイ倶楽部」、レトロなおしゃれな建物です。テーマは「宇宙の中の地球」ゲスト講師は国立天文台准教授の小久保英一郎さん。(第9回の案内)

わりと最近まで知らなかったのですが、小久保さんは「情熱大陸」に出演して、大変な人気が出ているのでした。早くから問い合わせも殺到、急きょ会場を変更し、定員も通常20名のところを40名まで増やしたとのこと。それでも、受付開始から数日で定員いっぱいになったとか。

小久保さんの専門は惑星系形成論で、原始惑星系円盤から微惑星がいかにして生まれ、さらに惑星へ成長したかをコンピュータシミュレーションで解き明かす研究をされています。GRAPEの開発や4D2Uプロジェクトにも携わられています。研究に使われているのは小久保専用計算機・三鷹山。そこで動かすプログラムのソースコードまで惜しげもなく公開されました。一部ですからもちろん何やらわかりません。科学計算は今でもFORTRANだと思ってましたが、Cを使われてるんですね。

話題の核心は太陽系の内側の地球型惑星の形成だったと思うのですが、微惑星の形成は、いくつもの微惑星が同じように成長する秩序的成長と、一つの微惑星が一人勝ち的に成長する暴走的成長の2つの仮説があったが、シミュレーションの結果、暴走的成長の方が起きるとわかった、しかし、それでも、数百万年程度の時間では、地球の10分の一程度の同じような天体(原始惑星)が多数できるだけで、現在のような惑星のサイズまでは成長しないこと。しかし、それからさらに長い時間(数億年ぐらい)を計算してみると、原始惑星同士の衝突合体が起きて、より大きな惑星に成長する。最終的には3、4個程度の数(ちょうど水星、金星、地球、火星)になって安定する。こういう話を、シミュレーション結果の動画を交えて話されました。

日々の研究は地道にプログラムを書くこと。とにかく体力勝負。初期値にかかわらず同じ結果が出るのが一番きれい。趣味はスキューバダイビングと文化財探訪。ダイビングは見た目いかにもそれらしいのですが。

今回の参加者41名のうち、38名ぐらいまで女性。ありえない男女構成比です。しかもほとんど若い独身女性。いやまあ、たぶん、サイエンスカフェは、普通の(いかにも「理系」とは縁のなさそうな)若い女性にどれくらい気軽に参加してもらえるかが、一つのポイントなんだろうなと思うのですが、それにしてもですね。終わった後も出待ちしていて、一緒に写真撮って、握手までして、小久保さんの講演は何度も足を運んでいるとか、北海道から来たとか。芸能人じゃなくて天文学者なんです。確かにテレビの影響はあるでしょうが、やっぱり本人の魅力なんでしょう。

会場風景   会場風景

次回は9月13日。ゲスト講師は天文台マダムさんです。直接お会いするのは1年ぶりになります。楽しみ。→次回の案内


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