先日の奈良行きの「格子の家」の話から。「ミセ」は、以前に他の地域で見学した町屋にも見られたのですが、別に商いをする場ではなく、町屋にはほぼ必ず備わっていたようです。祖母の家にも、類似の部屋がたしかに玄関脇にありました(「ミセ」と呼んでいたかどうかはわかりません)。訪問者があればそこで応対したり、という使われ方をしていたようです。さらに昔は通りの側に折りたたみ式の床机が作りつけてあって、夏場はそれを出して夕涼みしていたとのこと。
また、何かの本で、ある家の「ミセ」にいつもおじいさんが座って外を眺めていたという記述がありました(でも商売していたようではない)。
ちょっと検索してみたら「視線の場としての都市 」という興味深い文章を見つけました。ミセは、家の中にいながらにして街の様子がわかり、祭りのときなどは格子を取っ払って通りの一部のようになる。家の中にいる人が居ながらに通りと接点を持つための場所。「視線の交信を可能にする仕掛け」という一言に惹かれました。町屋の面白さが少しわかったかも。