今でも語りぐさになる大彗星たちですが、ベネット彗星はともかく、ウェスト彗星が出現したのは私が小学生ぐらいのころになります。
その頃すでに星や宇宙に興味はありましたが、ウエスト彗星を見たことはありません。それどころか、存在を知ったのさえ、もっと後になってからでした。
ところが、私は見なくてよかったと、実は思っています。というのも、百武彗星の時、「ベネットの方がすごかった。何であんなものでさわいどるのかわからん」という声を聞いた事があるためです。そして、今また、ある超有名な方の日記で、「ウェスト彗星に比べると、リニア彗星は比べものにならない小彗星ですね」という記述を見つけました。
たしかにリニア彗星は期待ほどではありません。百武彗星は長大なイオンテイルが印象的でしたが、ベネット彗星のような、末広がりの見事なダストテイルは見られませんでした。でもね、そういう過去の記憶に囚われて「あれと比べたらこれは...」という感想しか出ない人って、はたして、彗星見ていて楽しいのでしょうか。
もちろん、「いや私は、ウェスト彗星がきっかけで天文はじめたんです」とか、「私にとってのNo.1はベネット彗星なんです」とか、そういう人は多いでしょう。でも、これらの彗星を見て以降、どんな彗星を見てもシラけた感想しか持てないとしたら、実に不幸なことだと思います。
というものが、神戸市立博物館で開かれていたので行って来ました。前日に星仲間から「行く」という話を聞いたので、私は人数に入っていなかったのだけれども、今日が最終日とのことで行きたくなりました*1。で、「偶然を装って出現する*2」と宣言して押しかけました。いきなり加わって迷惑かけました>関係者
本物ということはもちろんなのだけれども、何かに載っていたようなものにせよ、伊能図を詳細に見たことはありません。非常に興味深いものでした。
伊能図というと、一枚物と考えている人が多いそうです。実際には一枚ではなく、全国を沢山の図に分けて書いてあります。最終的に幕府に提出された「大日本沿海輿地全図」は、3万6千分の1の「大図」、21万6千分の1の「中図」、43万2千分の1の「小図」があり、大図214面、中図8面、小図3面からなるとのこと。
「大日本沿海輿地全図」の正本は既に失われてしまいましたが、多くの複写図などが残されています。中でも、2001年、大図210面がアメリカで発見され、話題になったのですが、今回は、そのアメリカで発見された図の一部を展示するとのこと。(以上ここまで、受け売り)
図には、実際に測量した線(測線)が赤で引かれています。測線は主に街道筋と海岸線にそっており、測線に沿って集落や周囲の風景などが描き混まれています。しかし測線からはなれたところは空白のままです。律儀です。方位を測る目印にした山も描かれていて、その山に向けて、測線上の複数の地点から方位線も書き込まれています。いかにも測量の記録そのままといった感じで面白かったです。
博物館入り口を入った吹き抜けのフロアには、フロア一面に、近畿地方を中心とした大図のコピーが床一面に貼られていて、みんな、しゃがみ込んで自分の家のあたりを探していました。
帰り際に、ミュージアムショップで図録を購入しました。書店などでも購入できるようです。
神戸では23日が最終日でしたが、この地図展はこれから全国を回ります。詳しくは日本地図センターによる案内を参照。