編集後記


2014年03月01日(土) [長年日記]

花山天文台

星の友の会で京都大学花山天文台を見学しました。

京都市営地下鉄の蹴上駅からタクシーで天文台へ。

蹴上駅へはJR山科駅からだとすぐでした。蹴上は南禅寺の南側、インクラインの目の前にあります。いままで京都駅からの行き方ばかり考えていて遠いなぁと思っていたのですが、反対方向から行けばいいというのは盲点でした。

花山天文台は清水寺の裏、東山にあります。45センチ屈折望遠鏡を備えた本館と18センチ屈折望遠鏡の別館、そして70センチシーロスタットのある太陽館、それにスライディングルーフの歴史館からなります。

天文台全景

別館、歴史館、太陽館、本館の順に見学させていただきました。45センチ、18センチどちらも古い望遠鏡で、メカメカしていいです。

別館18センチ屈折望遠鏡は1910年ハレー彗星接近の際に購入され、100年以上の歴史を持ちます。1986年のハレー彗星回帰の観測にも使用、同彗星の2回の回帰を観測したことになります。現在も太陽観測用として現役です。

別館18センチ屈折望遠鏡
 
木造ドームは造船所製
手動操作感がたまりません
このいかにも重厚な装置はドーム回転装置。動きます

本館の45センチ望遠鏡は、もともと30センチだったのを45センチに換装したのですが、口径が大きくなる分焦点距離も延び、鏡筒長が延び、結果、ドームに収まらないので、本来接眼部が付く側に鏡を入れて折り返えすという構造にしたとのこと。更に折り返した光路を直角にまげて鏡筒の横に接眼部を付けています。そのため、見た目はまるでニュートン反射です。

45センチ屈折望遠鏡
接眼部があるべき場所には何もありません。
接眼部はこちら。2ヶ所あり、望遠鏡の向きにより使い分けます。

45センチ鏡の赤道儀は重力時計駆動です。吊り下げた錘が落ちていく力を使って日周追尾します。国立天文台の第一赤道儀室や大赤道儀室の望遠鏡と同じ。さらに先代の明石市立天文科学館の望遠鏡とも同じ。これが今も動いているのですよね。いいなぁ。

赤道儀の駆動部。まだ使っています。
架台全景。駆動部から錘が下がっています。

太陽館。70センチシーロスタットは国内最大、建物全体が一つの望遠鏡になっています。太陽館に入るのは望遠鏡の中に入るのと同じこと。驚きの構造です。

70センチシーロスタット
この部屋でフォーカスを合わせ、スリット面に像を結びます。
暗室。この部屋で分光。分光された光は壁に映し出されるのでその前に撮影装置を置いて撮影。
 

天文科学館とつながりが深いのは歴史館になります。もともとは子午儀を置く建物でした。木造のスライディングルーフ。しかし子午儀用なので南北方向に細長く開くだけです。ここにあった子午儀がいま天文科学館に・・・・

歴史館
 
45センチ屈折望遠鏡赤道儀の重力時計式駆動系

花山天文台おまけ

二等三角点と菱形基線測点

 

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