旭川市科学館「サイパル」は、旭川市青少年科学館から名称を変更し、移転・新築して2005年7月に開館した新しい科学館です。青少年科学館時代はカール・ツァイス・イエナ社のZKP-1を、「サイパル」では、同じくカール・ツァイス社のSTARMASTER ZMPを導入、国内では最北のツァイス投影機採用館です。
場所は旭川駅から東へ徒歩20分ほどのところにあります。旭川駅の駅裏は川に面していて、かなり広い公園に整備されています。その東端になります。
関西に比べて気温は低いけれど、陽射しは暑い。歩いて体を動かしているので、上着は手に持って。てくてく歩いて行くと、やがて天文台のドームを二つ屋上に備えた建物が見えてきました。
「サイパル」正面。ガラス張りの中にプラネタリウムドームが見える独特のデザインです。
館内は薄暗く、天井を見ると照明が消されています。まだ早かったのかとためらっていると、後から来た家族連れが気にした風もなく突入して行きました。節電のために照明を控えていたようですね。
投影の時間まで余裕があるので先に常設展示室へ。そこかしこにスタッフやボランティアが何人も配置されています。体験型の展示が主体で、スタッフの手助けを受けながら体験するようなものも。前を通ると、椅子に座っていたスタッフが立ち上がって挨拶されます。そこに入っていかないと申し訳ないような気持ちになります。でも中途半端に時間が。
旭川市青少年科学館時代の投影機。とても小さな投影機でした。もちろん手動。ドーム径は8メートルだったそうです。青少年科学館の開館から閉館(1963年~2005年1月)まで動き続けた長寿の投影機です。現在はサイパルのプラネタリウムドーム入口に展示されています。
ドームは水平床、投影機は手を伸ばせばさわれるぐらいとても近い位置にあります。
座席の配置は同心円型ですが、南半分は回転するシートになっています。座席間もゆったりして、先に人が座っていても容易に出入りできそう。解説者が、どの座席がおすすめかということを案内されていて、初めての人も迷いがありません。
投影は全部生解説。星空の案内の中に、ちょうど先日過ぎたばかりの中秋の名月の話題などがありました。「関西ではこのような風習だったので」というような表現があったことに、なぜか日本の端っこに来ていることを実感してしまいました。
どこでも定番の北極星の探し方。この話に入った時に改めて北天を見て、北極星の高さを実感。昨夜、空を見た時は北極星が見えず、夏の大三角形では今ひとつ緯度の違いがわからなかったのです。本物の星空でなく投影された星空で実感するのもどうかとは思いますが。
投影終了後も解説者の投影機の説明が続きました。すると残っていた人も投影機の周りに集まってきました。
屋上に見えていた天文台に上がってみました。
たぶんこの方角に大雪山が。しかし雲が広がり・・・
天文台ドームは二つあり、一方で太陽を観測中。
太陽観測に使われていたのは、三鷹光器の20cm屈折簿運協です。ただ残念ながら雲がひろがっていて、太陽を見ることはできませんでした。
科学館の北隣に、レンガ造りの古い建物があります。旧国鉄の工場として明治32年に建築された煉瓦造建物二棟を改修、再利用した建物で、現存する旧国鉄工場施設としても国内で最も古い建物の一つとのことです。
外壁の煉瓦はそのままに、内部は大幅に改装され、ホールや会議・研修室などとして使われています。
今回の旅の目的は達成したので、残りの時間はすべてオプションです。
北海道は今回が初上陸でした。時間も限られているので、定番のところをベタに回ろうと考えていました。一方、夕方には札幌へ移動するつもりなので、何箇所もまわる時間はありません。そうすると、選択肢はあそこしかありません。行かないときっと呆れられるだろうと思われる定番中の定番、旭山動物園へ。
NAVITIMEで動物園までの経路を検索すると、なぜか最寄り駅から小一時間歩けと指示されます。実際は旭川駅から路線バスが出ているのですが……ただしバスでも片道40分、案外離れたところにあります。
よく知られているように、旭川動物園の特徴は行動展示にあります。オランウータンの渡り木やアザラシがくぐる透明チューブなどは有名ですが、ほとんどの動物舎で、横からだけでなく上から見下ろせたり、様々な角度から見学できます。だから油断できません。ヒョウの檻をのぞいて「あれ?いない」と思ったら頭上にいたり。
人気のところは行列ができていたのでほとんど回りませんでしたが、そうでないところだけでも随分楽しめました。
旭川駅前に戻ってきて、迷った末、札幌へは特急で向かうことにしました。贅沢するつもりはありませんが安く旅行するのが至上命題でもありません。運賃分に見合うだけかなり時間を稼げるのと、乗ってみたいのと。
座席は新幹線などに比べて豪華でゆったりとしていました。残念なのは、日が暮れてしまったので外の景色がわからず、北海道の「北の大地」を実感するのにはいたらなかったこと。
スーパーカムイは札幌からそのまま新千歳空港行きの快速エアポート号になります。
札幌到着。遅い夕食は本場のスープカレー。