編集後記


2009年10月03日(土) [長年日記]

お月見

夕方から病院へ。

病棟のベランダに、お団子やお供え物、さらにお茶やお酒も用意されて、お月見の雰囲気が整います。

観望会スタッフは2名。私の8センチ屈折と、もう一人が持ってこられた「10分でできる望遠鏡」、それに、病棟に貸し出しているコルキットを並べました。

また、同じベランダで、「かぐや」のハイビジョン映像を静止画に落したものをスライドショーで上映しました。

参加者は十数名、うち患者さん3名。この日入院されていた人数に比較してかなり少ないのですが、ここはホスピス病棟です。参加された方も車いすかベッド。ベッドの足元を見ると酸素ボンベが・・・・

ホスピスでのイベントは、患者さんが一人も参加されなくても粛々と行うのが鉄則です。

さて、肝心のお天気です。ついに、史上初めて、最初から終わりまでずっと観望できました。もっとも、主役の月と、その西側にいる木星が主な対象だったのですが、黄道付近は雲の通り道になってしまい、終始見え隠れしている状態ではありました。

さて、今までで一番の天気だったことで、始めた時からの懸念事項が改めて露呈しました。車いすやベッドに寝たきりの患者さんにどうやって望遠鏡を覗いてもらうのか、という問題です。

以前、一度少し晴れ間がのぞいた時は、出てこられた患者さんは多少は車いすを降りて立つことができたので、それほど問題にはなりませんでした。

今回は、誰も立てません。望遠鏡に寄せてみると、車いすもベッドも、あと一歩のところで接眼部に目が届きません。三脚が邪魔、あるいは、接眼部の繰り出し量が全く不足です。身を乗り出して目を接眼部に近づけられればいいのですが、2名の方はそれも困難でした。試行錯誤した結果、このお二人には、ベッド用のテーブル(なんて名前でしょう)を使って、なんとか「10分でできる望遠鏡」で月を覗いてもらう事が出来ました。

さらに終盤になって、8センチでも、鏡筒を後ろへ思いきり出せばなんとか目に届くことに気がつき、最後まで残られた方には、それで木星を見ていただくことができました(バランスが崩れるので、ポルタ架台がちゃんとフリーストップするか心配しましたが、大丈夫でした)

やっぱり、観察者は姿勢を保ったまま、接眼部を観察者の目元にもってこれる仕組みが必要と痛感しました。例のファイバースコープか、超小型ワンダーアイとか、ベッドの上に鏡筒を持ってこれるような架台とか。持ちこんでいる望遠鏡の大きさを考えると、架台が有望かもしれません。カメラをつけて小型モニターで、というのも以前に考えたこともありますが、生の天体の光を自分の目で見ている感に乏しいので、どんなものかと思いました。

ともかく、満足してもらえているといいのですが。

寒い間は観望会はお休み。次は来年の春です。


プロフィール

星を見る、本を読む、そこらを歩いてまわる・・・→詳しく

注目リンク

バックナンバー