サイエンスカフェ岡山のために倉敷へ。
第11回*1は「深海への旅〜地球最後のフロンティア〜」というテーマで、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の佐藤孝子さんを講師にお迎えしました。「しんかい6500」に数度乗船し、深海の生き物を研究されています。会場は、昨年寺薗淳也さんの回で行ったことのある「はしまや」さん。
はしまやさんの裏手。
大盛り上がりでした。休憩時間も質問攻めで、佐藤さん全然休憩できず。
まずコウモリダコのインパクトのある変身(?)動画に会場衝撃を受けます。続いて、深海では大腸菌がうどんのようにびろ〜んと延びる。実は分裂しても高圧下では分裂できず、長く繋がったままになるとか。
深海といえば、たとえば熱水噴出孔の周りなどに、硫化水素に頼って生きる生物が生息していますが、これは硫化水素をエネルギー源にする細菌がいて、その細菌を体内に共生させて生きる生き物たちがいるわけです。それはいいのですが、宿主は、その共生している細菌そのものも、食べてしまう? そしてまた増えすぎないように分裂をコントロールしているとか。
いや、深海は、深いです。
深海から採取してきた生物もいろいろ持ってこられていて、触らせてもらいました。
シロウリガイ。よく熱水噴出孔の周りなどにびっしり生息している写真をよく見かけます。ちなみに、貝柱を食べてみたら、硫黄臭いことを除けば、ホタテの貝柱みたいだったとのこと。ちなみに、この写真は、生です。
カニとエビ。カニはやっぱり熱水噴出孔付近にびっしり生息。熱水に近づきすぎて足が焦げることもあるとか。
この小枝のようなものはチューブワームの殻。中空になっていて、中に本体が入っていたようです。
ケースの中の瑞々しいものは・・・なんだったっけ?
クジラの背骨の骨。これも写真で見たことがありますが、深海底に沈んだクジラの骨に含まれる硫化水素を栄養源として、独立した生態系が形成されていたりします。生命ってたくましい。
クジラの骨で生きる生き物は、熱水噴出孔の周りに住む生き物と同種だそうです。驚きです。もちろん何も無いところから湧いて出てくるわけはなく*2、どこかから骨を求めて移動してきたのでしょう。卵や幼生の状態で移動してきたのではということでしたが、この広い海でクジラの骨に出会う確率を考えると、途方もない話です。熱水噴出孔とクジラの骨では全然生育環境は異なりますが、硫化水素あるかぎりどこでも繁殖してやるぞという、種としての強い意志を感じます。
もちろん、「しんかい6500」の話もありました。映像では、母船からクレーンで海の中へつり下げられるところや、潜航中の「しんかい6500」を無人潜航艇が撮影した映像などを見せていただきました。乗船中はトイレが大変とのこと。3人乗るとぎゅうぎゅうの船内、トイレは携帯用のものしかありません。特に女性は大変です。一応女性用の携帯トイレもあるそうですが・・・・。
深海と言えばおなじみ。すさまじい水圧で縮んだカップヌードルのカップ。一番右側が原型。
使い古しではなく、日清食品から、新しい空のカップを取り寄せて実験しているとのこと。一度使ったものは油がついていて、そのせいでうまく縮まないとか。
最後は、佐藤さんの絵本「くじら号のちきゅう大ぼうけん」。くじら号に乗って旅をしながら、いろいろな深海の生き物に出会います。
書店では販売していないので、入手はJAMSTECにお申し込みを。→JAMSTEC:刊行物のご案内
カニは足が焦げていることもある。<br><br>・・・シロウリガイはボイルにはなっていないんですね。<br><br>「しんかい6500」だったかな、こどもの頃読んだ本で、深海で貝を採取しようとしたら機械でにぎりつぶしてしまって、そしたら真っ赤な血が!!奇怪話ではなくて深海では貝もヘモグロビンを生成することがあるという発見だったんだとかを覚えています。