ご飯を食べながら「クローズアップ現代」を見ていました。やれやれ・・・・当業界のいつものパターンです。
昔からあるものの名前を変えて、いかにも新しいもののように見せる。
はじめは、ASPと呼ばれていた。
次はSaaSと呼ばれるようになった。
で、次はクラウドというわけ。その次は何と呼ぶのかな。
これらは、つまるところ、ソフトウェアのレンタルにすぎない。そのソフトウェアが、手元のコンピュータではなく、世界のどこかにあるサーバ上に存在するのが大きな特徴、ということ。IEなどのブラウザでアクセスして利用する。つまり、ネット環境とブラウザを搭載した機械があればどこからでも使える。PCでなくても、携帯でもゲーム機でも、対応できるブラウザが載っているなら何でもよい。
番組の中で「こんなことができるようになった」って言ってたけど・・・それはクラウドの特徴じゃない、その顧客管理ソフトが優秀なんだ。ASP/SaaS/クラウドのメリットは、その優秀なソフト(と、それを実行するために必要なハード)を安価かつ簡単に使うことができるということ。それ以上でも以下でもない。
逆にいえば、借りられるソフトがヘボかったら、他の何を誇ろうが、クラウドに何の価値もない。
「インターネットの中にある巨大コンピュータ」という表現で、なにやら一昔前のSFにでも出てきそうな「巨大コンピュータ」らしきもののCG*1を出し、これがすごいんだ、このコンピュータのものすごい能力を使えるんだというようなことを言っていた。
「巨大コンピュータ」の実態はデータセンタの中に並べたたくさんのサーバなんだけれども、これが必要なのは、たくさんの顧客に支障なくサービスを提供するため。別に一人の顧客のためじゃない。番組に出てきたような中小企業に、あんなたくさんのサーバは必要ない(たぶん家庭用PC一台で足りる)。
ただ、ひとつ言えることは、ASPからSaaS、クラウドと名前を変える過程で、だんだん使われるものになっていっているということかな。「だんだん」か「どんどん」か「徐々に」かはわからないけど。
デメリットは・・・番組の中で最後に言われていた通り。
ただし、顧客企業の経営者にとって一番の問題は、たぶんセキュリティでもシステム障害でもない。自社のすべての情報を、クラウドの提供企業がすべて握ってしまうこと。これもASPと呼ばれていた時代から連綿と続く課題。
もっとも、今や個人も、検索サービス企業なんかにライフログをばっちりとられてしまっていたりするのだろうけど。
*1 「ナウシカ」の雑誌連載版でラストの方に出てきた、ドルクの神殿に似ているような気がした。