先日、いきなりトラブルで停止してしまったLHCですが、東京山手線一周に及ぶ巨大な加速器で、陽子を光速の99.9999991%に加速します。
加速された陽子のエネルギーは最高で7テラ電子ボルト、このエネルギーをもった陽子の塊同士を正面衝突させるので、衝突エネルギーは最大14テラ電子ボルトに達します。
・・・・ここまで、LHC: Facts and figuresと「ニュートン」10月号より。
ええと、ブラウン管式テレビの電子銃は2000ボルトの電圧がかかっていて、ここから蛍光面へ向かって飛び出す電子1個は2000電子ボルトのエネルギーを貰っている、と聞きましたが、正しい理解でしょうか。
これだけのエネルギーがあるとブラックホールができるんじゃないかとか(ブラックホール合成も真剣に議論されている)、できちゃったら地球が飲み込まれてしまうんじゃないかとか、騒がれているわけです。
ちなみに(陽子ではありませんが)、SPring8で加速される電子のエネルギーは8ギガ電子ボルトです。
ところが、宇宙から絶えず飛来する宇宙線の中に、とてつもなくエネルギーの高いものが時々検出されます。これらを超高エネルギー宇宙線(UHECR)と呼びますが、 Einstein1905 WhatsNewによると、エネルギーは10の20乗電子ボルト以上。LHCの14テラ電子ボルトは1.4 x 10の13乗電子ボルトですから、宇宙線の方がはるかにしのいでいます*1。
やっぱり人間はかないません。
でも、そんなのに体を貫かれてもたぶん気がつきもしないんですよね。 さすがに地上までは降りてこない?
もしかして、UHECRによって体内でブラックホールができてたりするのでしょうか?
*1 「10の20乗」とは0が20個並ぶという意味