KEK(高エネルギー加速器研究機構)って、今でもkek.jpなんですね。。。などと言っても、汎用JPドメインというものが登場したから、今じゃピンと来ない人も多いかもしれないな。
涼しくなって快適と思ったら、まだ夏は続いとんでぇ〜、とばかりに暑くなった。まあ、少々暑くなったり涼しくなったりしたぐらいで、「この気候はおかしい」などと叫ぶほど短絡的ではない。過去1年かそこらの変化を見たぐらいで何か言えるほど、地球の気候は単純ではない。
などと小難しく考える気が起きる程度には、暑さも和らいでるのか。セミの声はやっぱり聞こえないし。そろそろ夏も終わりですね。
天体スケッチのサイトです。冷却CCDだの何だのの時代にスケッチなんて、もはや少数派かもしれませんが、目で見たものを見たままに表現するには最適の手段かもしれません。対象をアイピースに穴があくくらいじっくりと観察できますしね。憧れはあるんだがなかなか手を出していない。
今日のドラマは後半半分だけ見ました。遅くなる予定なのに録画を忘れていた。
ドラマの原作になった本がこれ。実はまだ買っておらず(この頃、本を買うペースが落ちている)、ドラマの方を先に見てしまいました。表紙の星空はたぶんメガスターの本物の投影像です。
「本物の投影像かな、どうやって撮ったんだろう」と思ってましたら、メルマガによれば、
大平が開発中の最新のデジタル映像技術を応用し、フジテレビのCGチームと共同でメガスターの星空を忠実に再現。
ということでした。
本物ではないけれども「忠実に再現」とのことなので、あれくらいの星空が投影される、ということかな。
サイエンスツアー2日目。
昨夜の宿泊は富山市内のビジネスホテルで。シングルルームを割り当てられました。こういうツアーでは珍しいと思ったのですが、実際、3回目のこのツアーでも珍しかったようです。
富山市内は市電(富山地方鉄道株式会社)が走っています。ちょうどホテルの前の道にも市電の線路が通っていました。
停留所
電車いろいろ
東京大学宇宙線研究所付属神岡宇宙素粒子研究施設は、岐阜県飛騨市の神岡鉱山内、地下1000メートルに実験サイトを設置しています。スーパーカミオカンデ実験のために設置された施設ですが、ダークマターの探索を目的としたXMASS実験など、複数の実験も同実験サイト内で実施されています。
配布資料より。実験サイトの配置図
神岡鉱山と、ここに施設が設置されるに至った経緯は「神岡鉱山からカミオカンデを見ると」*1が詳しいです。
富山県との県境に位置し、富山市内からは1時間とかかりません*2。神通川沿いに国道41号線を南下、富山平野を外れるとすぐに登りに入り、たちまち深い峡谷とダムが現れます。県境を超え神岡町へ。
国道沿いに研究棟があり、まずそちらへ。
ここで、施設で行われている実験の目的と成果について説明を聞きました。さらに施設に入るための注意事項を聞いて、実験サイトへ。
実験サイトは研究棟からバスで15分の距離、というわけで施設が用意したマイクロバスに乗り込み。
ニュートリノ施設にやさしい低公害バス(^^)
このバスで、地下奥深くのスーパーカミオカンデの目の前まで運んでくれます。地下1,000メートルというとどんだけ深くもぐるんだと思ってしまいますが、実験サイトは標高1,368メートルの池ノ山という山の山頂直下。つまり頭上に厚さ1000メートルの山塊が乗っかっている、ということなのです。施設自体の海抜高度は茂住地区(標高約280メートル)とそんなに変わりません。坑道をほぼ水平移動で到達できるのです。拍子抜けするかもしれませんが、これだと人や資材の搬入も苦労がありません。要はそういう場所を選んで設置されたわけですね。
坑道入口
ここでヘルメットを受け取りました。ここから外に出るまで、ヘルメット着用厳守です。
坑道内は真っ暗で、バスのヘッドライトの明かりが便りです。坑口からスーパーカミオカンデまで約2キロメートルとのこと。しばらく揺られているとやがて少し明るくなったところで停まりました。
到着地点から入ってきた方向を
*1 東京大学総合研究博物館刊行物データベース>「小柴昌俊先生ノーベル賞受賞記念ニュートリノ」に収録
*2 資料では富山空港からバスで40分、富山ICから車で40分、私たちのツアーのスケジュール表ではホテルからバスで55分。
スーパーカミオカンデとはなんぞやという説明は、長くなるのでリンク先をご覧ください(^^)。
直径39.3m、高さ41.4mの円筒形水タンクという巨大実験施設にしてはあっさりとした入口です。
入ってすぐのところに、歴代総理大臣をはじめとする著名人の寄せ書きが。
入口右手にコントロールルーム、まっすぐ進むと実験水槽の上部に至ります。稼働中ですので、水槽の中には入ることはできません。水槽上部の施設とコントロールルームを見学しました。
光電子倍増管。天文科学館など各地にレプリカはありますが、こちらは実物。レプリカは窒素充填していますが、本物は真空引きしてあるとのこと。破損事故の教訓を受けて、保護カバーで覆ってあり、かなり大夫とのこと。
水槽上部に向かうトンネル内には、純水製造設備が並びます。鉱山内を流れる地下水をくみ上げ、
ろ過、イオン交換膜、殺菌装置などをいくつも通り抜けて超純水となり、スーパーカミオカンデの水槽へ入ります。
それらを通り抜けると実験水槽区画。巨大ドーム天井、どこかのプラネドームとどっちが大きいだろうと思わず想像しました。39メートルだと名古屋市科学館より大きいわけです。ドーム内には座席ではなく無数のケーブルを収めた棚が並んでいます。
「エレキハット」と呼ばれる部屋を見せていただきました。
光電子倍増管からの信号はまずここへ集められます。室温が検出精度に影響するとのことで厳重に空調管理されています。そのため中に入れてもらえず、入り口から覗き込むだけ。
続いてコントロールルームへ。
事務机の上に数台のPCだかワークステーションだかが並ぶだけ。もちろんここで解析しているわけではなく、検出データは蓄積して、外の研究施設や、研究者が各々の研究室に持ちかえって解析するわけです。
現在の検出状態をリアルタイムに表示している大きなモニターが目を引きます。水槽の壁面の展開図を表示し、その上の一個一個の点が一つの光電子倍増管を表します。
見ていると、絶えず何かが検出されています。毎日無数のイベントが検出されるそうですが、実はほとんどが宇宙線によるもの。宇宙線の影響を避けるために地下1000メートルに潜り、地上での十万分の一にまで低減しているのですが、それでも相当数の宇宙線を検出しているわけです。後でデータを解析して、発光のパターンなどからニュートリノによるイベントを探し出すとのこと。モニタを見ていて、眼視でニュートリノを検出したことはあるか、という質問を誰かがしていましたが、さすがにないそうです
スーパーカミオカンデを出て、旧カミオカンデ跡に設置されたカムランドに徒歩で向かいました。
鉱山に作られていますので、施設内の通路は、岩がむき出しのところが多いです。施設が集中しているところは明るいですが、少し離れると相当に薄暗い。神岡鉱山は総延長1,000キロメートル。立ち入り禁止のところも多いです。勤務している人も迷うことがあるとか。「迷ったら、わかるところまで戻れ」「わからなくなったら動くな(救助を待て)」と言われているそうで*1。
側溝を大量の水が流れています。清浄な地下水が豊富に存在することも、カミオカンデ・スーパーカミオカンデの設置場所として選ばれた理由の一つとか。
*1 当たり前ですが携帯は届きません。有線電話はところどころに設置しているそうです。
カムランドは旧カミオカンデ跡に東北大学が設置したニュートリノ観測施設です。
施設に入る前に防塵服を着るよう指示されました。原発事故以来何度もテレビで見てきたあの白いつなぎです。もちろん放射性物質による汚染防止ではなく、体についた塵を施設内に持ちこまないためです。
こちらも稼働中ですので、実験装置本体を見ることはできず、上部の装置を見るにとどまりました。
こちらでは「カムランド禅」実験で、入り込んだ不純物を取り除く作業を根気よく続けているところです。
坑道の一角に光電子倍増管が残されていました。カミオカンデ時代のもの。実際に使われていた実物です。これで超新星1987Aのニュートリノを検出したんですね。
CANDLESは大阪大学が行っている実験です。宇宙はなぜ「物質」ばかりで「反物質」が存在しないのか、を突き止めるために、二重ベータ崩壊という現象を観測しています。実験装置は、二重ベータ崩壊を起こしやすい元素であるカルシウム48を含んだフッ化カルシウムを検出器として用います。
・・・・ここのところ、正しい説明は上記のリンク先から。
何かの倉庫のような(失礼)入り口から。
こちらも検出器は構築済み。装置の外観を見学しました。
円筒形の大きなタンク。この中にフッ化カルシウムの検出器が収められています。
スーパーカミオカンデ、カムランド、CANDLES、何かの物質とニュートリノがごくまれに反応して発生するわずかな光を光電子倍増管でとらえるという原理は同じです。いずれも工場のプラントのようなおおがかりな設備で、そこにいる研究者の方は工場の作業員といった風でした。加速器もそうですが、素粒子というミクロの世界を追求するための大がかりな観測・実験設備というところが印象に残りました。
CANDLESの隣はXMASS実験の施設で、こちらは調整中のため施設全体がクリーンルーム化されているとのことです。
林道を下る。研究棟から実験サイト入口までは、国道41号を下り、途中からこのような林道に入ります。