編集後記


2006年11月14日(火) [長年日記]

「冥王星が太陽系の果て」だって?

DSPACEへの 松本零士氏の寄稿を読んで。

かつて太陽系の果ては土星でした。冥王星を「果て」と認識していたのは、たかだか20世紀〜21世紀前半に生きる我々だけのことに過ぎません。「我々」というのも怪しいな。ちょっと宇宙に詳しい子供なら、オールトの雲とかカイパーベルト天体とか、そういうものがあると聞き及んでいるはず*1。ボイジャーは太陽風が吹く最果てであるヘリオポーズに、つい最近到達したところ。本当に太陽系の果てに思いを馳せているものの意識は、とっくの昔に冥王星を通り越しています。

また、「ヤマト」で冥王星を「太陽系の果て」と描いていたというのはちょっと受け止め方が違います。その向こうにアステロイドベルト(!)とか第11番惑星(!!)とか出てきますし、1作目で、いよいよ太陽系を離れるというので乗組員が地球との最後の通信を行う話はアステロイドベルト(カイパーベルト)を通過してからのことだし。もちろんアニメの話で、コミックではどうだったかはわすれましたが。

冥王星が「古典惑星」から外れたことには、正直なところ、私も寂しさがあります。でもそれは、まあ、今まで慣れ親しんだものが新しいものに改まったときにいつも感じる感情だと思います。変な例えだけれども、聖徳太子から福沢諭吉に変わった時の気持ちのようなものか。

ところで「小さいから仲間はずれにされた?」と訊いた子供には何と答えられたのでしょうか。

*1 オールトの雲は、存在はまだ確認されていません。カイパーベルト天体は、その発見が今回の定義決定の大きな要因でした。


プロフィール

星を見る、本を読む、そこらを歩いてまわる・・・→詳しく

注目リンク

バックナンバー