編集後記


2006年06月30日(金) [長年日記]

デイスカバリー 伸るか反るかのミッション

「シャトルを、もう1機失う事態になれば、私はシャトル計画を中止する方向で検討を命じる」。。。中止すればアメリカはうれしいんじゃないかと勘ぐる人もいるかもしれませんが*1、失敗すればNASAの権威と信用は確実に失墜するので、アメリカとしても望むところではないでしょう。

しかし、万一中止になれば日本はもっと困るでしょう。有人活動をシャトルとISSに全面依存しているのだから。

順調に行ったとしても、シャトルは2010年で退役、ISSも2016年で終了です。「独自の有人活動はやらない」と明言している日本はその先どうするのか。ISSとともに終わり?

日本のマスコミや世間は日本人の宇宙飛行士が宇宙へ行くと沸き立ちます。天文と宇宙の分野で、これほど世の中に好意的な関心を持ってもらえる出来事は、あとはノーベル賞ぐらいか。人命が失われれば手のひらを返されるのは確実でしょうが。

しかし、これこそ、もしかしたら何千億円ドブに捨てる方向に突き進んでいるのでは、とついつい懸念してしまいます。

*1 とは、いつもの勝手な妄想です

シャトルのない宇宙

さて、シャトルが退役すると宇宙はどれくらい寂しくなるでしょうか。

スペースシャトルの恩恵をもっともよく受けているのは、HSTでしょうか。でも同じ恩恵を他の衛星が受けることはできていませんよね*1。HSTの次のJWSTなど、たとえその頃にシャトルが残っていたとしても、もはやシャトルでは保守できません。

衛星や探査機の打ち上げにはシャトルはもう長らく使われていません。ISSはシャトルがないと建設できないかもしれませんが、別に宇宙ステーションをつくるのにシャトルは必須ではありません*2

シャトルが無駄だったとも、何も貢献しなかったとも思いません。問題は、シャトルに依存しすぎて、「シャトルの次」とか「シャトルとは違うもの」を考えてこなかったこと、シャトルがなければ何もできないと思い込まされていること、ではないでしょうか。

*1 「すざく」の観測機器の一つが機能喪失した時など、そこに行ってなおせたらなぁ、と思いました。

*2 スカイラブやミール...


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