5月25日 (世界時、以下同じ)、4人の日本人観測者によってへびつかい座に10等の新星が発見されました。
福岡県久留米市の西山浩一 (にしやまこういち) さんと佐賀県みやき町の椛島冨士夫 (かばしまふじお) さんは、焦点距離105ミリメートル (f/5.6) カメラレンズを用いたCCD観測により撮影された画像から、25.693日に10.2等のこの新星を発見しました。また、静岡県掛川市の西村栄男 (にしむらひでお)さんは、焦点距離120ミリメートルのカメラレンズを用いた観測から25.706日に10.2等で、愛知県豊橋市の長谷田勝美 (はせだかつみ) さんは、焦点距離120ミリメートルのカメラレンズを用いた観測から25.69日に10.3等で、それぞれこの新星を発見しています。西山さんと椛島さんの発見、および西村さんの発見は中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて、また長谷田さんの発見は九州大学の山岡均 (やまおかひとし) さんを通じて国際天文学連合に報告されました。
以下は発見された新星の観測値です。
なお位置については、西山さんと椛島さんによる観測値です。
発見日時 (世界時) と発見等級 2008年5月25.69 日 = 5月25日16時34分 10.3等 (長谷田さん) 2008年5月25.693日 = 5月25日16時38分 10.2等 (西山さん、椛島さん) 2008年5月25.706日 = 5月25日16時57分 10.2等 (西村さん) 赤経 17時 39分 50.93秒 赤緯 -23度 50分 00.9秒 (2000年分点)
この場所は、過去にも各発見者によって撮影されていましたが、3月8.82日、4月4.77日および5月14.70日 (長谷田さん、限界等級11.5等)、5月14.759日(西村さん、同12等)、5月19.752日と20.694日 (西山さんと椛島さん、同12.4等)、5月20.745日 (西村さん、同10等) に撮影された画像には、この新星は写っていませんでした。
また1985年に撮影されたDSS (注) の画像 (限界等級19.5等)、1991年8月11日に英国シュミット望遠鏡で撮影された画像 (同20等)、2008年4月27.094日にスロベニアのH. Mikuzさんによって撮影された画像 (同16.0等) にも、それぞれこの新星が写っていなかったことが報告されています。
この新星で、今年に入ってから日本人によって発見された新星は4個目となりました。西山さんと椛島さんは、今年4月にいて座とはくちょう座に新星を、また長谷田さんも3月にはくちょう座に新星を発見したばかりです。西村さんは、2007年3月のへびつかい座新星以来、1年2カ月ぶりの新星発見となりました。みなさまのさらなる活躍を期待します。
注:DSS (Digitized Sky Survey) は、米国にあるパロマー天文台のサミュエル・オシン・シュミット望遠鏡と、オーストラリアにあるアングロ・オーストラリア天文台の英国シュミット望遠鏡を用いて、全天を撮影し、デジタル化したもの。限界等級の値は天域によって変わるが、平均的には20等級前後の天体まで写っている。
2008年5月28日 国立天文台・広報室