静岡県掛川市の西村栄男 (にしむらひでお) さんが、3月19日 (世界時、以下同様) の観測から、へびつかい座に新星を発見しました。この天体は、焦点距離200ミリメートル、f/4.0のレンズを取り付けたカメラで撮影された2枚の画像の中から発見され、中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合に報告されました。
西村さんは発見前の3月17日にもこの位置を観測していましたが、新星らしき天体は何も発見されませんでした。また、自身で2005年以降に撮影したフィルム (限界等級 11.5-12等) を調べましたが、限界等級よりも明るい星はありませんでした。
また、三重県亀山市の中村祐二 (なかむらゆうじ) さんは、フィルターなしのデジタル・カメラで撮影した画像から、同天体を独立発見しました。この発見は、九州大学の山岡均 (やまおかひとし) さんを通じて国際天文学連合に報告されました。
さらに、埼玉県上尾市の門田健一 (かどたけんいち) さんは、3月20日に口径25センチメートル反射望遠鏡 (f/5) の観測から、この天体の明るさが9.8等に増光していること、USNO-A2.0星表ではこの位置の0.1分角以内には何も天体がないことを確認しました。
山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんも、3月20日に口径30センチメートル反射望遠鏡 (f/7.8) を用いて、9.7等の天体を確認しています。
以下はこの天体の観測値です。
天体の位置は、門田健一さんが測定した値です。
西村さんの発見日 2007年3月19.812日 = 3月19日19時29分 10.2等 中村さんの発見日 2007年3月20.812日 = 3月20日19時29分 10.0等 赤経 17時42分44.00秒 赤緯 -23度40分35.1 秒 (2000年分点)西村さんの発見日
その後、兵庫県立西はりま天文台の内藤博之 (ないとうひろゆき) さん、鳴沢真也 (なるさわしんや) さんによる分光観測で、スペクトル線に新星の示す特徴が認められました。
今年に入ってから、日本人の活躍による新星の発見が相次いでいます。
2月4日には中村さん・櫻井さんがさそり座に、2月19日には今回の天体を発見した中村さん・西村さんが同じくさそり座に、3月15日には多胡さんがはくちょう座に新星を発見しています。(国立天文台 アストロ・トピックス (270),(274),(282))
2007年3月23日 国立天文台・広報室