多胡さんがはくちょう座に明るい新星を発見

 岡山県津山市の多胡昭彦 (たごあきひこ)さんが、3月15日 (世界時、以下同様) の観測から、はくちょう座に7.4等の新星を発見しました。この新星は、口径70ミリメートル、f/3.2のレンズを取り付けたデジタルカメラ (30秒露出、限界等級13.2±0.2)で撮影された3枚の画像の中から発見されました。

 この発見は、兵庫県の中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて、国際天文学連合電報中央局に報告され、この天体は、新星「CYGNI 2007」と命名さ れました。

 以下は多胡さんによって発見された新星の観測値です。

発見日 2007年3月15.787日 = 3月15日18時53分(世界時) 7.4等
赤経  20時 28分 15秒
赤緯 +41度 49.0分  (2000年分点)

 多胡さんは発見前の3月12日にもこの位置を観測していましたが、その撮影画像には何も見えませんでした。発見翌日の3月16日の観測では、この新星は7.5等の明るさになっていました。また、岡山県井原市にある美星スペースガードセンターでも、3月16日に口径1メートルの反射望遠鏡を用いてこの新星 のCCD観測を行い、6.7等(ただしフィルターなし)の値を得ています。さらに、岡山県井原市の美星天文台や兵庫県佐用町の西はりま天文台では、3月16日に 低分散の分光観測が行われ、そのスペクトル線の中に現れた特徴から、この新星は現在、極大付近にあると推定されています。

 多胡さんは彗星や新星などの発見者として知られ、これまで多くを見つけています。また、多胡さんは昨年10月25日にカシオペヤ座にマイクロレンズ 現象と思われる奇妙な振る舞いをする変光星を発見してしています。マイクロレンズ現象についてはアストロ・トピックス(257)をご覧下さい。

 多胡さんの今後の更なる活躍が期待されます。

参照:

2007年3月19日            国立天文台・広報室

転載:ふくはらなおひと(福原直人)