金田さん、はくちょう座に新星を発見

 北海道札幌市の金田宏 (かねだひろし) さんは、3月7日 (世界時、以下同じ)の観測から、はくちょう座に8.2等の新星を発見しました。この新星は、デジタルカメラ (焦点距離105ミリメートル、f/2.5 レンズ使用) により撮影された9枚の画像の中から発見されました。

 この発見は、中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合電報中央局に報告されました。

 この天体の発見日時、位置、発見等級 (金田さんによる観測値) は次の通り。

発見日時 2008年3月7.801日 = 3月7日19時13分 (世界時)
赤経 19時 58分 33.4秒
赤緯 +29度 52分 04秒 (2000年分点)
発見等級 8.2等

 金田さんは同じ場所を昨年の10月5日 (限界等級10.5等)、今年1月1日 (限界等級10.7等)、2月18日 (限界等級10.5等) に観測していますが、いずれもこの天体は写っていませんでした。また、DSS (注) にもこの位置を中心とした20秒角以内のところには13等よりも明るい天体は存在しませんでした。

 この天体については、中国のグループや日本国内から多くの発見通報が国際天文学連合電報中央局に寄せられました。九州大学の山岡均 (やまおかひとし)さんによると、日本国内では4人の方々がこの天体を独立に発見し、次のような観測値を得ています。

愛知県の山本稔 (やまもとみのる) さん 3月7.826日 8.0等
三重県の中村祐二 (なかむらゆうじ) さん 3月7.830日 8.6等
愛知県の長谷田勝美 (はせだかつみ) さん 3月7.837日 7.4等
熊本県の工藤哲生 (くどうてつお) さんが 3月7.871日 9.2等

 このうち、中村祐二さんは2月24.852日に、山本稔さんは3月5.830日にもこの場所を観測していましたが (限界等級はそれぞれ12等、10.5等) 、この天体は発見されていませんでした。また、埼玉県上尾市の門田健一 (かどたけんいち) さんは、3月8.716日にこの天体を7.4等の明るさで観測しています。

 金田さんは昨年12月にこぎつね座に8.7等の新星を発見しており、今回はこれに続く快挙です。また、今年に入って日本人による銀河系内での新星発見者の第一号となりました。金田さんの更なる活躍に期待します。

注:DSS (Digitized Sky Survey) は、米国にあるパロマー天文台のサミュエル・オシン・シュミット望遠鏡と、オーストラリアにあるアングロ・オーストラリア天文台の英国シュミット望遠鏡を用いて、全天を撮影し、デジタル化したもの。限界等級の値は天域によって変わるが、平均的には20等級前後の天体まで写っている。

参照:

2008年3月11日           国立天文台・広報室

転載:ふくはらなおひと(福原直人)