福岡県久留米市の西山浩一 (にしやまこういち) さんと、佐賀県みやき町の椛島冨士夫 (かばしまふじお) さんが、4月10日 (世界時、以下同じ) の観測から、はくちょう座に7.7等の新星を発見しました。この新星は、4月10.728日、焦点距離105ミリメートル (f/5.6) カメラレンズを用いたCCD観測により撮影された2枚の画像 (限界等級約12.5等) の中から発見されました。お二人は4月10.787日と11.668日に、口径40センチメートルの反射望遠鏡を用いて撮影された画像に、それぞれ7.7等と7.1等の値を得ています。この発見は中野主一(なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合に報告され、この新星は、「はくちょう座 V2491」と命名されました。
以下は西山さんと椛島さんによって発見された新星の観測値です。
発見日時 2008年4月10.728日 = 4月10日17時28分 (世界時) 赤経 19時 43分 01.96秒 赤緯 +32度 19分 13.8秒 (2000年分点) 発見等級 7.7等
西山さんと椛島さんは、4月3.717日と7.727日にこの場所を撮影し画像 (それぞれ限界等級は12.5等と12.7等) を得ていましたが、この天体は写っていませんでした。
愛知県豊橋市の長谷田勝美 (はせだかつみ) さんは、4月4.774日に同じ場所を撮影した画像には12.3等よりも明るい天体はなかったと、九州大学の山岡均(やまおかひとし) さんを通じて報告しています。また、イタリアのG. SosteroさんとE. Guidoさんが、パロマー・オシン・シュミット望遠鏡で1995年に撮影された乾板を調べたところ、この場所に約18等の恒星があることが判明しました。さらに、埼玉県上尾市の門田健一 (かどたけんいち) さんによって、4月11.741日にこの天体の位置と明るさ (7.4等) が確認されていることを中野主一さんは付け加えています。
また、岡山県井原市の美星天文台の綾仁一哉 (あやにかずや) さんと大阪教育大学の松本桂 (まつもとかつら) さんは、 4月11.72日に美星天文台の口径101センチメートル反射望遠鏡を用いてこの天体の低分散分光観測を行い、貴重なデータの取得に成功しています。
西山さんと椛島さんは、昨年9月にはM33銀河に新星1個を、同年10月から12月にかけてはM31銀河に新星5個を発見しています。さらに、今年に入ってからも、すでにM31銀河に3個の新星を発見するなど活躍中です。お二人のさらなる発展を期待します。
2008年4月14日 国立天文台・広報室