椛島さんと西山さん、M33銀河に新星らしき天体を発見

 佐賀県みやき町の椛島冨士夫 (かばしまふじお) さんと、福岡県久留米市の西山浩一 (にしやまこういち) さんが、9月18日 (世界時、以下同) の観測から、17.1等の新星らしき天体を発見しました。この新星らしき天体は、局部銀河群に属するさんかく座方向にある渦巻き銀河 M33 (NGC 598) (注1) の中にあり、口径40センチメートルの反射望遠鏡 (f/9.8) を用いたCCD観測により撮影された5枚の画像 (限界等級19.9等) の中から発見されました。この発見は中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合に報告されました。

 以下は椛島さんと西山さんによって発見された新星らしき天体の観測値です。

発見日時 2007年9月18.63日 = 9月18日15時7分 (世界時)
赤経 1時 33分 58.65秒
赤緯 +30度 57分 34.2秒 (2000年分点)
等級 17.1等

 椛島さんと西山さんは9月10日にもこの銀河を観測しましたが撮影画像 (限界等級19.6等) やDSS画像 (注2) には、この天体は写っていませんでした。

 なお、椛島さんと西山さんは、この新星らしき天体を発見した後もその明るさの観測を続け、発見日の18日には17.1等から16.5等と観測していましたが、翌19日には17.2等前後、さらにその翌日の20日には17.8等前後と、日が経つにつれて減光しているのを確認しています。またこのほかに、9月19日に山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんが16.8等、美星スペースガードセンターの観測チームは17.4等 (B等級)、16.2等 (R等級) という追跡観測をしています。

 このところ日本人の活躍による新星発見が続いています。今年の8月には安部裕史 (あべひろし) さんがこぎつね座に新星を発見したばかりでした。今回の天体が新星と確認されれば、今年に入ってから日本人によって発見された新星はこれで9個になります。

注1:銀河系とアンドロメダ銀河を中心として半径300万光年程度の範囲の銀河集団を局部銀河群とよびます。不確定なものも含めると全体で30個以上にもなりますが、M33 (NGC 598) 渦巻き銀河はこの中のひとつです。通常、銀河系以外の銀河での新星発見は稀ですが、M33は近距離にある銀河のため、発見されたと考えられます。

注2:DSS (Digitized Sky Survey) は、米国にあるパロマー天文台のサミュエル・オシン・シュミット望遠鏡と、オーストラリアにあるアングロ・オーストラリア天文台の英国シュミット望遠鏡を用いて、全天を撮影し、デジタル化したものです。限界等級の値は天域によって変わりますが、平均的には20等級前後の天体まで写っています。

参照:

2007年9月21日            国立天文台・広報室

転載:ふくはらなおひと(福原直人)