中村さん、特異激変星を発見

 三重県亀山市にお住まいの中村祐二(なかむらゆうじ)さんが、ヘルクレス座に新星らしい天体を発見しました。

 この天体は、6月13日15時過ぎ(世界時、以下同)に焦点距離200ミリメートル望遠レンズを使って撮影した写真に、11.5等級の明るさで写っていました。中村さんが1999年から2004年の期間に撮影した、約50枚の写真(限界等級12等級)には写っていないそうです。この発見は兵庫県洲本市の中野主一(なかのしゅいち)さんを通じて国際天文学連合へ報告されました。

 山形県山形市にお住いの板垣公一(いたがきこういち)さんが6月20日に60センチメートル望遠鏡で観測した、この天体の明るさは12.8等級で、詳細な位置は、

赤経  18時 39分 26.16秒
赤緯 +26度 04分 09.8 秒  (2000年分点)

です。

 6月23日に天文電報中央局の依頼で、ホプキンス山の1.5メートル望遠鏡で分光観測をおこなった結果、アメリカ・スミソニアン天体物理観測所のマセソン(Matheson)らは「この天体は激変星である」と報告しています。また、アメリカ変光星観測者協会(AAVSO)のプライス(Price)とワーゲン(Waagen)は、光度観測のデータから「この天体が「や座WZ星型矮新星」である」と言っています。

 中村さんは1990年に「チェルニス・木内・中村彗星(C/1990 E1)」を発見しています。また、1995年には「デビコ彗星(122P/de Vico)」を再発見しています。2001年7月に「はくちょう座新星」(国立天文台・天文ニュース (458))を、2002年1月に「へびつかい座新星」(同(518))、2004年3月に「いて座新星」(同(705))を、2004年4月「へびつかい座新星」(国立天文台 アストロ・トピックス (11))を発見しています。

参照

2004年7月6日            国立天文台・広報普及室

訂正:「国立天文台 アストロ・トピックス (22) カッシー二探査機、いよいよ土星へ到着」で「土星のリングの中でも内側にある薄いFリングとGリングの間を通過しながら、」とありますが、これは「土星のリングの中でも外側」の間違いです。訂正させていただきます。
転載:ふくはらなおひと(福原直人)