1997年10月の打ち上げ以来、実に6年8ヵ月もの長い旅を続けていたカッシーニ探査機が、ついに目的地である土星に到着します。
カッシーニ探査機は、すでに6月中旬に主エンジンを噴射して速度を減速させ、土星への到着準備を整えていました。日本時間で7月1日の11時36分に、再びエンジンを噴射し、さらに減速して土星に近づきます。土星のリングの中でも内側にある薄いFリングとGリングの間を通過しながら、約一時間半の噴射によって、12時54分には土星を周回する軌道に入る予定です。今回の土星への最接近は13時03分の予定で、接近距離は土星の雲頂から19980キロメートルとなります。
予定では、エンジン噴射終了後の13時35分には、土星のリングの撮影を行うことになっています。順調にいけば、最初の画像が7月2日9時頃には地球に届くでしょう。1981年8月25日、探査機ボイジャー2号が1万2000キロメートルを接近通過して以来、約23年ぶりの土星への探査機接近となりますので、どんな画像が送られてくるか楽しみです。
今後、カッシーニ探査機は、4年間にわたって土星を周回しながら、本体やリング、様々な衛星等の観測を行う予定です。また、その間には土星の衛星で濃い大気を持つタイタンの上空に接近し、レーダー観測を行うほか、年末には小型衛星のホイヘンスを大気中に投入することになっています。パラシュートを展開して約3時間にわたって大気中を降下しながら、大気の様々な観測を行い、タイタンの表面に到着することになっています。
2004年6月30日 国立天文台・広報普及室