【転載】国立天文台・天文ニュース(458)
三重県鈴鹿市の中村祐二(なかむらゆうじ)さんが「はくちょう座」に新星を発見しました。
中村さんは、7月14日0時すぎ(日本時)に、焦点距離200ミリメートル、f4のレンズをつけたカメラで撮影した写真上で、「はくちょう座」に、11.9等の明るさの新星と思われる天体があることに気付きました。発見の通報を受けた国立天文台の佐藤英男(さとうひでお)さんは、これを国際天文学連合に報告、また、同じく国立天文台の福島英雄(ふくしまひでお)さんは、口径50センチの反射望遠鏡によって追跡観測をおこなった結果、7月16日夜に、この新星状天体を11.69等の明るさで確認しました。さらに九州大学の山岡均(やまおかひとし)さんは、その精密位置を
赤経 20h 07m 17.94s 赤緯 +36゜04' 37.2" (2000.0)
と報告しています。これは「はくちょう座」の十字の中心であるガンマ星と、そこから白鳥のくちばし方向寄りにあるイータ星との中間で、ややイータ星寄りのあたり、銀河の星がたくさん集中している付近です。イタリア、パドバ大学天文台が17日(世界時)におこなった光学スペクトル観測から、この天体は極大光度を少しすぎた典型的な新星と推定されました。そして、国際天文学連合は、この天体に「はくちょう座新星2001(Nova Cygni 2001)」の呼び名を与えました。
新星の発見は、5月にイギリスのコリンズ(Collins,M..)が発見した「わし座新星2001(Nova Aquilae 2001)」以来で、今年に入って3個目です。それ以外にも、1月に金津(かなつ)さんが「とも座」に、さらに5月には長谷田(はせだ)さんが「さそり座」に、ともに新星状天体を発見しています。ただしこれらは典型的な新星ではなかったので、新星としての名はつけられませんでした。日本人による新星発見は、2000年3月に長谷田さんが発見した「たて座新星2000(Nova Sct 2000)」以来1年5ヶ月ぶりのことです。
なお、中村祐二さんは、11年前の1990年3月16日に、チェルニス・木内・中村彗星(C/1990 E1 Cernis-Kiuchi-Nakamura)を独立発見して天体発見功労賞を受賞したことのある。経験豊かな観測者です。
2001年7月19日 国立天文台・広報普及室
---------------------------------------------------------------------- ●すばる望遠鏡 ◎遠方に存在する7個の新しい超新星を発見 http://subarutelescope.org/Latestnews/200107/SNe/j_index.html ●要望書:わが国の最近の科学技術政策について : 基礎的科学研究の推進の必要性 http://www.nao.ac.jp/index_J.html