カール・ツァイス・プラネタリウム巡りでコスモプラネタリウム渋谷を訪問する予定があったのですが、東京方面だと、10月18日、19日に開催予定の「三鷹・星と宇宙の日2013」にもかねがね行きたいと思っていました。そんなわけで、10月19日国立天文台、20日渋谷という計画を立てました。
国立天文台三鷹キャンパスは二度目の訪問になります。前回はJR三鷹駅から行こうとして、バスがわからず右往左往しましたが、改めてアクセス方法を確認すると、JRなら武蔵野駅からの経路が案内されていました。今回は武蔵野駅に向かいましたが、京王線調布駅からのほうがバス路線はずっと多いようです。
オープン前から正門前には行列が。
敷地は広々としているので、入ってしまうと、人気の場所は別として混雑感はあまりありません。
JASMINEは銀河系内の数億個の星の位置を高精度に測定することを目的とした衛星計画。ここでやっていた実演。
銀河中心の星が密集した領域では、周囲の複数の星の重力によって、かなり複雑な軌道をとる星があります。軌道の形から「バナナ軌道」「魚軌道」「プレッツェル軌道」といった面白い名前がつけられていました。その軌道を再現してみています。これは科学館などにあるY字振り子ですね。
銀河の星の位置を測定するプロジェクトと言えば、現在実施中のVERAプロジェクトがあります。全国4ヶ所に配置した電波望遠鏡を組み合わせて高い解像度を実現し、銀河系の精密立体地図を作る計画です。
相関器コーナーにはなにやら見慣れた装置が。
はい、前に見たのはここで。VERA小笠原局にあったのと同じデータレコーダーです。VERA各局の観測データは磁気テープに記録され、三鷹キャンパスに集められて相関処理を行います。ここはまさにその、各局からテープが集められてくる場所なのです。データを送り出す側と届く側と両方の場所に立てて感慨深いものがありました。
そのテープはこの大きさ。1巻につき600GBの記録が可能。
もうテープは生産されていないそうなのですが、数年以内にはハードディスクに置き換えるとのこと。「ネット使えよ」言われそうですが、小笠原は無理ですね。石垣島もデータ量が多すぎて不可能だそうです。他2ヶ所はネット伝送に成功しているようです。
コンピュータ通信が始まったころ、「通信で送るのと犬にフロッピー咥えさせて走らせるのとどっちが早いか」なんてジョークのような本気のような議論がありましたが、それに近いものが天文学の世界にはまだあるようです。
天文台歴史館(大赤道儀室)とその中のカールツァイス社製65センチ屈折は健在でした。この望遠鏡好きです。もう使ってないのが残念。いや使ってたら自由に見られないかな。
いつでも使える状態だそうですが、観測床は固定してしまっているそうなので、もしも使うとなると、どんな風に運用することになるでしょうか。
巨大なドームは木製。建設された当時*1、この曲面を木で作る建築技術はなく、造船所の技師の支援を得て作られたとのこと。
カール・ツァイスの銘板
*1 1926(大正15)年
キャンパスの一角にひっそりとあった台座。かつてこの台座の上に設置された子午儀で日本標準時を決定する観測が行われていました。普段の一般公開では立ち入りできないエリアにあります。
ALMAの次のビッグプロジェクトTMT(Thirty Meter Telescope; 30メートル望遠鏡)で、にhんが開発を担当している分割鏡の試作品。鏡面支持装置ではなく、その上に載っている鏡材そのものが、日本の担当です。
お昼は生協の食堂で。特別公開日限定のメニュー。
私は食堂を制するとすべてを制した気分になるのですがなぜでしょうか(笑)
生協には天文台グッズも並んでいます。新発売のチロルチョコを購入しました。
パッケージの絵は、国立天文台図書館司書で切り絵作家の小栗順子さんの切り絵が使われています。チョコだけでなくクリアファイルや定規などにも小栗さんの作品が使われています。
一般向けの定例観望会や学生向けの観測実習などで使用している望遠鏡です。特別公開日も観望会は予定されていたのですが、あいにくの天気で中止となりました。特別公開日は晴れないというジンクスがあるとか。
公開望遠鏡のあるグラウンドには、望遠鏡メーカーやショップなどがブースを出していました。アマチュアの一団も。
アストロアーツのブースに立ち寄っていくつか購入しました。
いただいたステッカーは、「星なかまの集い」でいつも提供いただいているものですが、いつも配ってしまうので、実は私は手に入れていませんでした。
観測機器などの開発、製作を行っているところ。中は工作機械が並んで町工場のよう。
ALMA望遠鏡の受信機の部品を見せていただきました。
ある程度複雑な形状も、削り出しで作成しています。この部品がどうなるかというと、次の2枚の写真の中に。わかるかな。
ものすごくピカピカなのですが、削り出しただけでこれくらい滑らかに仕上げられるようです。それがわかるのが次の金属鏡のサンプル。磨いていないようです。
スーパーコンピュータと言ってよさそうなシステムですが、普通の建物の一角にあっさりと置いていました。
やや古い二重床。
ユニットの一つ。
二層になっていて下の層は通常のPCと同じ基板、上の層が多体問題計算用の専用ハードウェア。なんにしろむき出しだったり、台座に段ボール使ってたり、手作り感満載の機械です。
この次に行くのなら、天文台マダムさんのアドバイスどおり、プレ公開日から2日かけて回りたいですね。