夜半の空に超新星発見

著者 :山岡均(九大理)

月遅れ盆が過ぎても残暑が厳しい今年ですが、日本の新天体ハンターの壮挙は止まりません。今回は、この季節は夜半に姿を見せるくじら座に、超新星が発見されました。発見者は、広島市の坪井正紀(つぼいまさき)さんで、今年に入って超新星2010B(VSOLJニュース 232)、超新星2010gi(VSOLJニュース 245)を発見されているのに続く活躍です。

坪井さんは、8月16.782日(世界時、以下同様)に撮影した画像から、16.0等の新しい光点に気付きました。その位置は、

赤経   1時32分51.07秒
赤緯 -12度11分21.5秒  (2000年分点)

で、くじら座のレンズ状銀河NGC 599の中心から西に40秒角、北に7秒角ほどのところになります。光点は17.61日の観測でも確認されています。

母銀河は、星生成が不活発な銀河で、超新星が出現するとすれば大質量星起源の重力崩壊型ではなく、星の誕生から爆発までかなりの時間を要する核爆発型のものである可能性が高いと思われます。発見時の明るさも、この推定と矛盾しません。今後のタイプ判別が待たれます。

なお、VSOLJニュース(246)でお知らせした天体は、分光の結果、やはりIa型超新星であったことが判明し、超新星2010gvという符号が付けられました。

参考文献:

2010年8月18日

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