夏空に超新星らしい天体

著者 :山岡均(九大理)

猛暑続きの日本ですが、夜空に涼を求める方も多いことでしょう。その夏の夜空のりゅう座に、超新星らしい天体が発見されました。発見したのは、大活躍を続けている新天体ハンター、山形市の板垣公一(いたがきこういち)さんです。

板垣さんは8月9.705日(世界時、以下同様)撮影の画像から、16.4等級の新天体に気付きました。発見前の画像をチェックしたところ、8月3.614日に撮影していた画像にも17.5等で写っていることがわかりました。新天体の位置は、

赤経 17時58分22.56秒
赤緯+50度47分34.0秒  (2000年分点、板垣さんの測定)

で、近くの暗い銀河SDSS J175822.33+504733.1のすぐそばにあります。新天体は、宮城県大崎市の遊佐徹(ゆさとおる)さんやベラルーシのネブスキー(V, Nevski)さんによって、10日に16.0等前後で確認されています。やや明るくなっているところのようです。

この銀河の距離は不明ですが、仮にそばにあるNGC 6515と同じ距離としますと、発見からの明るさ変化は、典型的なIa型超新星の極大前のようすと一致します。今後のタイプ判別や光度変化の追跡が望まれます。

このほかにも、日本人アマチュア天文家による超新星の独立発見が複数報じられています。皆さんの活躍は、目をみはるばかりです。

参考文献:

2010年8月11日

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