へびつかい座に新星が出現

著者 :山岡均(九大理)

へびつかい座は、夏の天の川が通っており、新星が多く出現する星座のひとつです。そのへびつかい座に、新星が発見されました。発見したのは、福岡県久留米市の西山浩一(にしやまこういち)さんと佐賀県みやき町の椛島冨士夫(かばしまふじお)さんのおふたりのグループ、静岡県掛川市の西村栄男さん、そして愛知県豊橋市の長谷田勝美さん(報告順)です。西山さん椛島さんは、先月も銀河系内の新星を2つ発見しており(VSOLJニュース193, 194)、精力的に活躍されています。

新星らしき天体は、5月25日の観測で発見されました。天体の位置は、

赤経  17時39分50.93秒
赤緯 -23度50分00.9秒  (2000年分点、西山・椛島さんによる測定)

です。この位置には昔の画像では、20等より明るい天体は見当たりません。また、20日には12.4等より明るい星はありませんでした(西山・椛島さん)。それが、25日には10.2等ほどで発見されたのです。増光から5日以内の天体であろうと推定されます。

この天体は20等以下から10等へ、1万倍ほど以上明るくなったことになり、古典新星であろうと考えられました。さらに、26日夜に岡山県井原市の美星天文台、および倉敷市の藤井貢さんが撮影したスペクトルでは、水素の線が爆発天体特有の形を示しており、古典新星であることがはっきりしました(vsolj8980, 8981)。かなり星間吸収を受けているらしく赤く見えますが、おそらく発見時は極大よりも前で、今後明るくなる可能性もあり、推移が楽しみです。

新星の画像:

新星のスペクトル:

参考文献:

2008年5月27日

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