山形市にお住いの板垣公一(いたがきこういち)さんは、これまで数々の超新星を発見するなど、たいへん活躍中の新天体ハンターです(vsolj-news 100, 104, 115など)。板垣さんはこのほど、ヘルクレス座の有名な球状星団M 13のすぐ近くにある渦巻銀河NGC 6027に超新星を発見されました。世界を通じて今年初めての超新星発見で、超新星2004Aと呼ばれます。
超新星が発見されたのは1月9.84日(世界時、以下同様)で、そのときの明るさは15.7等(フィルターなしCCD)、翌10.75日にも同じ明るさで観測されています。また、山梨県の串田麗樹(くしだれいき)さんによって、9.877日に15.7等で確認されています。超新星の位置は、
赤経 16時43分10.90秒 赤緯 +36度50分12.5秒 (2000年分点、板垣さんの測定)
で、母銀河の中心から西に22秒角、北に17秒角にあたります。銀河の中心に重なって明るい星がありますので、同定には注意が必要です。板垣さんが2003年12月27日に撮影された画像では、18等より明るい天体はこの位置になく、この超新星は爆発から2週間以内であろうと考えられます。
この銀河はかなり近い部類に属します。典型的なIa型超新星がこの銀河に出現すると、極大で12等台が期待されます。ただし、今回の超新星2004Aは、発見後1日経っても明るさがほとんど変化しなかったことから、より暗い重力崩壊型の超新星である、もしくは母銀河内の星間物質によって吸収を受けていることが考えられます。今後、分光タイプの決定や光度変化の追跡が待たれます。
超新星の画像などは、D. Bishopさんの超新星page、
http://www.rochesterastronomy.org/snimages/
で近々公開されていきます。
参照
2004年1月11日