【転載】国立天文台・天文ニュース(660)

高尾さん、へびつかい座に新星を発見


 福岡県北九州市の高尾明(たかおあきら)さんがへびつかい座に新星を発見しました。

 高尾さんは、7月10日と16日のCCD画像から、新星の可能性のある天体を発見し、日本変光星観測者連盟(VSOLJ)に報告しました。発見時の明るさは10日に11.4等、16日に11.2等と報告されています。

 この天体はそれ以前に、ASAS-3自動望遠鏡でもとらえられており、6月15日から検出されはじめて11.0〜11.5等付近を変動し、6月26日に10.6等の極大等級を迎えたことが明らかになりました。

 この天体はオーストラリアの V. Tabur(タイバー)さんも検出していましたが、変動がゆっくりであったので普通の変光星と思っていたようです。

 愛知県の長谷田勝美(はせだかつみ)さん、チリの W. Liller(リラー)さんの撮影した写真にも記録されていたことが報告されています。

 天体の詳細な位置は、南アフリカの B. Monard(モナード)さんによって以下のように測定されました。

            17時 19分 14.10秒
           -27度 22分 35.4秒   (J2000.0)

 その後、スペクトルが確認され、新星と認定されました(CBET 31)。この新星はへびつかい座新星2003(Nova Oph 2003)と呼ばれますが、更に固有のコードも与えられ、V2573 Oph = Nova Oph 2003 となりました(CBET 35)。

参照

2003年7月24日 国立天文台・広報普及室

CBET
The Central Bureau hereby issues its first Electronic Telegram
緊急の天文情報を伝える一時的手段として天文電報中央局が発行する電子電報
ASAS-3
"The All Sky Automated Survey" (ASAS; 全天自動捜索) の第3世代の装置で、ポーランドのワルシャワ大学などの研究チームによって、チリのラス・カンパナス天文台に設置されている。観測装置は最大でも口径20センチメートル強と小型だが、広角CCDカメラを含めた3台の機材によって、観測できる空全体で14等星ぐらいまでの約1000万個の星の変光を常時測定しようという野心的なシステム。観測結果は即時に解析され、インターネット上で誰でもデータを検索する形で発表されている。今後の変光星観測に大きな影響を与えることは間違いないく、世界的にも変光星観測の一大転換点となりつつある(出典:VSOLJ ニュース (103) ASAS-3 自動サーベイ望遠鏡が記録したいて座新星(V4745 Sgr) 2003年 5月 3日)
訂正:「国立天文台・天文ニュース (659) 火星の大きさ」で「前回 2001年 
   6月22日の大接近時の火星」、「次回 2005年10月30日の大接近時の火星」
   とありますが、「大接近」は「接近」の間違いです。「大接近」「中接
   近」「小接近」の定義はありませんが、どちらも少なくとも大接近とは
   呼べない接近です。訂正させていただきます。

転載:ふくはらなおひと(福原直人)

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