【転載】VSOLJニュース(107)

高尾さん、へびつかい座に新星らしき天体を発見


著者 :加藤太一(京大理)
連絡先:tkato@kusastro.kyoto-u.ac.jp

 北九州市の高尾 明(たかおあきら)さんは、7月10日と16日に撮像されたCCD画像から、新星の可能性のある天体を発見され、日本変光星観測者連盟(VSOLJ)に報告されました。発見時のCCD等級は10日に11.4等、16日に11.2等と報告されています。この位置は VSOLJ ニュース (103) で紹介された ASAS-3 自動望遠鏡も撮像しており、6月15日から検出されはじめて11.0-11.5等付近を変動し、6月26日に10.6等の極大を迎えたことが明らかになりました。同天体はオーストラリアの Vello Tabur も検出していましたが、変動がゆっくりであったことから通常の変光星と判断していたようです。また、愛知県の長谷田勝美さん、チリの William Liller の写真にも記録されていたことが報告されています。

 天体の精測位置は、南アフリカの Berto Monard によって以下のように測定されました。

           17h 19m 14s.10
           -27o 22' 35".4
              (J2000.0)

 この位置には、増光前に明るい既知天体や赤外線天体などは存在せず、この天体が大きな爆発を起こしたことが確実になりました。天体の種類の確定には分光観測が必要ですが、新星またはそれに近い種類の新天体であることは間違いないでしょう。VSNETでは以下のページに星図や Greg Bolt から提供された画像を公開しています。観測にご利用ください。

http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/vsnet/Novae/noph03.html

2003年 7月18日

この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、VSOLJの速報メーリングリストにご加入いただくと便利です(お申し込みは vsolj-adm@ooruri.kusastro.kyoto-u.ac.jp まで)。
なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。


転載:ふくはらなおひと(福原直人)