【転載】国立天文台・天文ニュース(467)
岡山県津山市在住のアマチュア天文家の多胡昭彦(たごあきひこ)さんは、2001年 8月18日に、焦点距離105ミリメートル、f4のレンズをつけたカメラで撮影した写真上で、「はくちょう座」に、明るさ8.8等の新星らしき天体を発見しました。多胡さんは同じ星野を 8月15日から3日間にわたって撮影していましたが、それまで、その場所にこれほど明るい天体はありませんでした。
その後、愛媛県久万町にある久万高原天文台の中村彰正(なかむらあきまさ)さんを通じ、国際天文電報中央局に報告され、国際天文学連合は、この天体に「はくちょう座新星2001(Nova Cygni 2001 No.2)」の呼び名を与えました。No.2 というのは、三重県鈴鹿市の中村祐二(なかむらゆうじ)さんが「はくちょう座」に新星を7月に発見しているからです(国立天文台の天文ニュース 458参照)。
また、岡山県美星町にある美星天文台の1.01m望遠鏡により、スペクトル観測が行われ、新星特有の水素の輝線に、急激に膨張する成分が重なって見えていることが確認されました。この特徴は極大前の新星のものです。その後、ヨーロッパでも観測が行われ、次第に明るさを増しているようです。今後どこまで光度を上げるかわかりませんが、双眼鏡でも観測できる明るさになりつつあります。新星が極大前に発見されるのは珍しいことで、京都大学理学部の加藤太一氏は、「非常に貴重な発見」と賞しています。
精密位置は、鳥取県八束町のアマチュア天文家・安部裕史氏により
赤経 21h 03m 02.00s 赤緯 +48゜45' 52".9 (2000.0)
と測定されています。
多胡昭彦さんは、この分野ではベテランの発見者で、過去に彗星を4つ発見しているほか、新星では1994年のへびつかい座新星、1999年のわし座新星に次いで、この発見で3番目となりました。
2001年8月20日 国立天文台・広報普及室
---------------------------------------------------------------- 訂正:「国立天文台・天文ニュース (465)・第二の巨大ブラックホールの確証 つかむ」で共同研究者一覧で牧島教授のお名前が間違っておりました。 牧島和夫ではなく牧島一夫さんが正しいお名前です。訂正させていただき ます。 ---------------------------------------------------------------- 伝統的七夕の日: 「http://www.nao.ac.jp/tanabata.html」をご参照ください。