【転載】VSOLJニュース(068)
おおぐま座の銀河NGC 3493に、14等級台と比較的明るい超新星が発見されました。確認観測には、日本のアマチュアも大活躍しました。
発見はIAUC 7683で報告されています。発見者は、イタリアで組織されているCROSSプログラムという超新星捜索チームに所属していて、今はフランスに在住の、M. MigliardiさんとE. Dal Farraさんです。8月12.9日(世界時、以下同様)に20cmという小口径の望遠鏡で撮影した画像から、14.5等の新しい天体を発見、13日、14日には発見者たちが確認観測を行ないました。彼らからの依頼を受けて、北海道名寄市の佐野康男(さのやすお)さんは、15.491日にこの天体を確認、位置を正確に求めました。それによると、この天体は赤経11時53分45.22秒、赤緯52度20分56.8秒(2000年分点)にあり、母銀河である棒渦巻銀河NGC 3953の中心核からおよそ35秒西、80秒北にあたります。渦巻の部分よりもかなり外側になります。銀河は北斗七星のうち四角を作る3つ目のγ星のすぐ南にあり、明るく大きい渦巻が印象的なものです。この銀河のまわりには、私たちの銀河に属する前景の星がいくつかあるので、観察するときにどれが超新星なのか注意する必要があります。佐野さんが撮影された画像が、http://www3.ocn.ne.jp/~sanosn/2001sn/2001dp.htmlで見られますので、観察の助けになるでしょう。
超新星が発見されると、スペクトル観測によってそのタイプを決定することが重要になります。この超新星のスペクトルを最初に撮影報告したのは、岡山県美星町の美星天文台でした。観測を行なったのは、台長の綾仁一哉(あやにかずや)さんをはじめ、「星の学校2001」でちょうど天文台を訪れていた高校 生たちを含んだ方々です。このスペクトルは、http://www.town.bisei.okayama.jp/bao/astro/sn/poss_sn_n3953.gifで見られますが、爆発から間もない超新星(例えば、美星天文台のページにあるhttp://www.town.bisei.okayama.jp/bao/astro/sn/sn98aq.htmlを参照)とはかなり様子が違っており、最も明るい時期から1か月ほど経ったIa型超新星のものに良く似ていることがわかりました。母銀河のNGC 3953はかなり近所の銀河で、典型的なIa型超新星は極大で12等級台になると推定されますから、先月やその前あたりにはかなり明るかったのではないかと思われます。その頃、この銀河を撮影された方がいらっしゃいましたら、一度チェックされるようお願いします。また、今しばらくは15等よりも明るく見えるでしょうから、夕方の空でやや北東に低いですが、撮影や観察の好対象になります。明るさの測定をされましたら、ぜひ御報告ください。
2001年 8月18日
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