【転載】国立天文台・天文ニュース(334)
愛知県豊橋氏の長谷田勝美(はせだかつみ)さんが新星を発見しました。
長谷田さんは3月6日未明(日本時)に撮影したパトロール写真で、「たて座」に10.6等の明るさの、それまで見かけなかった新星らしい天体があることに気付きました。長谷田さんの報告によって、岡山県倉敷市の藤井貢(ふじいみつぐ)さん、また茨城県つくば市の清田清一郎(きよたせいいちろう)さんがこの星のスペクトル観測をおこなったところ、新星に特徴的な、幅の広い、強い水素の輝線が認められ、新星であることが確定的になりました。この発見は国際天文学連合にも認められ、新星は「たて座新星2000(Nova Scuti 2000)」と呼ばれることになりました。
九州大学の山岡均(やまおかひとし)さんは、この新星の位置を、
赤経 18時 34分 3.16秒 赤緯 -14゜ 45' 11.5" (2000.0)
と測定しています。「たて座」はあまり聞き慣れない星座名かもしれませんが、「いて座」のすぐ北側にある小さな星座で、銀河の中にあります。日本で見ると、この3月には、午前2時ころに東の地平線から昇ってくる星座です。新星はすでに極大を過ぎたと思われ、その後の観測でも、しだいに暗くなっている模様です。暗すぎるので、この新星を肉眼で見ることはできません。
新星の発見は、2月に桜井さんが「いて座新星2000」を発見(天文ニュース326)して以来で、今年に入って2個目になり、どちらも日本人による発見です。また、長谷田さんにとっては今回が最初の新星発見です。
参照
2000年3月23日 国立天文台・広報普及室