【転載】国立天文台・天文ニュース(326)
茨城県水戸市の桜井幸夫(さくらいゆきお)さんが新星を発見しました。
桜井さんは、2月5日(日本時)の未明、焦点距離300ミリ、f 2.8のカメラで撮影した写真上で、「いて座」に、新星と思われる10.5等の明るさの天体があるのに気付きました。この発見は、洲本市の中野主一(なかのしゅいち)氏によって国際天文学連合に通知され、その後のスペクトル観測などにより、この天体は新星であると確認されました。発見されたこの新星の呼び名は「いて座新星2000」となります。
八ヶ岳南麓天文台の串田夫妻による観測によって、この新星の位置は、
赤経 17時55分9.84秒 赤緯 -19゜ 46' 1.0" (2000.0)
と測定されています。これは南斗六星の柄の端の星である「いて座ミュー星」の北西5度くらいの場所です。暗い星ですから、残念ながら、この新星を肉眼で見ることはできません。引き続きおこなわれている観測によると、発見時よりさらに暗くなりつつあるということです。
新星の発見は、昨1999年12月1日に発見された「わし座新星1999,No2」(天文ニュース311)以来、また日本人による新星発見は、同じく昨年7月13日の多胡昭彦(たごあきひこ)さんによる「わし座新星1999」発見(天文ニュース275)以来のことです。一方、桜井さんは1996年8月の「いて座新星1996」(天文ニュース49)以来3年半ぶりの発見で、これが5個目の新星発見になります。桜井さんはそのほかに、1996年2月に「桜井天体」と呼ばれる新星状天体も発見しています。
参照
2000年2月18日 国立天文台・広報普及室