板垣さん、こんどはくじら座に超新星を発見

 山形県山形市にお住いの板垣公一(いたがきこういち)さんは、りょうけん座の渦巻銀河 NGC 4617 の中に超新星を発見したばかり(国立天文台 アストロ・トピックス (80))ですが、今度はくじら座の渦巻銀河 NGC 941 の中に 17.4等級の超新星を発見しました。この発見も兵庫県の中野主一(なかのしゅいち)さんを通じて国際天文学連合に報告されました。

 この天体は、板垣さんが2005年2月6日夕方(日本時)に、CCDを用いて撮像した画像に写っていました。翌日夜、板垣さん自身が確認していますが、このとき、超新星は16.6等と明るくなっていました。爆発後間もないものと思われます。

 この超新星は 2005ad と命名されました。

超新星の位置は、

赤経:  2時28分29.45秒
赤緯: -1度08分20.0 秒 (2000年分点)

です。

 この天体は NGC 941 の中心から、東に23秒角、北に45秒角のところにあります。この天体は夕空にあり、これから太陽に近付いていってしまうので、早期のスペクトル型の判定と継続的な観測が望まれています。

 板垣さんの発見(独立発見を含む)は通算14個目となり、山梨県 八ケ岳南麓天文台の串田麗樹(くしだれいき)さんの発見数と並びました。

 板垣さんは、2004年に超新星 2005A と 2005B を3日の間隔で発見しています。今回は、超新星 2005ab が2月6日未明、超新星 2005ad が同日の夕方と、同じ日に2つの天体を発見したことになります。VSOLJ ニュース (136) によると、このような例は、日本人では、「森敬明(もりひろあき)さんが、1975年10月5日 彗星 C/1975 T1 と 1975 T2」を「青木昌勝(あおきまさかつ)さんが、1996年12月15日 超新星 1996ca と 1996cb」(国立天文台・天文ニュース (75))を発見した例があるだけで、かなり珍しいものです。

参照

2005年2月7日            国立天文台・広報普及室

転載:ふくはらなおひと(福原直人)