板垣公一さんが、引き続いてNGC 941に超新星2005adを発見

著者 :山岡均(九大理)
連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

山形県にお住いの板垣公一さんは、昨日超新星2005abの発見をお伝えしたばかり(VSOLJ-news 135)ですが、引き続いてまた超新星を発見されました。出現したのは私たちからたいへん近くにある銀河です。

超新星が出現したのは、くじら座の銀河NGC 941で、腕の開いた渦巻銀河をほぼ正面から見た形をしています。板垣さんは、2月6.402日(世界時、以下同様)に撮影した画像から、17.4等級の新しい光点を見いだしました。超新星の位置は、

赤経:  2時28分29.45秒
赤緯: -1度08分20.0秒(2000年分点)

で、銀河の中心から東に23秒角、北に45秒角のところになります。天体の存在は、翌夜(7.434日)に板垣さん自身が確認していますが、このときには超新星は16.6等に増光していました。爆発後間もないものと考えられます。

NGC 941はたいへん近くにある銀河で、母銀河での吸収がない典型的なIa型超新星ですと13等台も期待されます。今回の超新星について、早期の分光と、継続的な測光観測が非常に望まれます。この天体は夕空にあり、これから太陽に近付いていくのが残念です。

板垣さんは、昨年も超新星2005Aと2005Bを3日間隔で発見されました。今回は、超新星2005abが2月6日未明、超新星2005adが6日の夕方と、日本時間では同じ日に2つの天体を発見されたことになります。このような例は、日本人では、

森敬明(もりひろあき)さん 1975年10月5日 彗星C/1975 T1と1975 T2を発見
青木昌勝(あおきまさかつ)さん 1996年12月15日 超新星1996caと1996cbを発見

があるくらいで、かなり珍しいものと言えましょう。

参考文献

2005年2月8日

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