西山さんと椛島さん、わし座に新星を発見

 福岡県久留米市の西山浩一 (にしやまこういち) さんと、佐賀県みやき町の椛島冨士夫 (かばしまふじお) さんが、12月14日 (世界時、以下同じ) の観測から、わし座に10.9等の新星を発見しました。

 この天体は、12月14.398日と14.399日に焦点距離105ミリメートルのカメラレンズ (f/4) を使用したCCD観測によって得られた2枚の画像 (限界等級13.3等) から発見されました。お二人は同日、引き続き40センチメートル反射望遠鏡 (f/9.8) を用いて観測を続け、得た7枚のCCD画像 (限界等級18.4等) から、この天体の等級を10.9等と測定し、また以下の位置を得ました。

 この天体の発見日時、位置 (12月14.408日の値)、発見等級は次のとおり。

発見日時 2009年12月14.398日 = 12月14日9時33分 (世界時)
赤経 19時 14分 09.73秒
赤緯 +15度 16分 34.7秒 (2000年分点)
等級 10.9等

 西山さんと椛島さんは、12月6日と7日にもこの場所を観測し、2枚の画像 (限界等級はそれぞれ13.7等、13.6等) を得ていましたが、この天体は写っていませんでした。

 また、イタリアの P. Corelli さんは、12月14.791日に45センチメートル反射望遠鏡 (f/4.4) を使用してこの天体を観測し、CCD画像から10.8等の等級を得たことを報告しています。また彼は、DSS (注1) 画像 (限界等級21.5等) に、この天体が写っていなかったことも付け加えています。

 さらに、オーストリアの W. Vollmann さんは12月14.710日に11.4等、チェコの K. Hornoch さんは15.700日に10.4等と、それぞれこの天体の等級を眼視観測により見積もっています。

 なお、県立ぐんま天文台 (群馬県高山村) の衣笠健三 (きぬがさけんぞう) さんらのグループが、同天文台の1.5メートル反射望遠鏡を用いて12月15日に行った分光観測の結果などから、この天体が、極大期に近い鉄を多く含むタイプの新星であることが確認されました。

 西山さんと椛島さんは、先月 NGC 3423 銀河に超新星を発見したばかりです。またお二人による新星の発見は、10月にいて座に出現した新星以来で、今年に入り4個目、通算では9個目となりました (注2)。お二人のさらなる活躍を期待します。

注1:DSS (Digitized Sky Survey) は、米国にあるパロマー天文台のサミュエル・オシン・シュミット望遠鏡と、オーストラリアにあるアングロ・オーストラリア天文台の英国シュミット望遠鏡を用いて、全天を撮影しデジタル化したもの。限界等級の値は天域によって変わるが、平均的には20等級前後の天体まで写っている。

注2:このほかに、M31銀河等の天の川銀河外の新星も多数発見している。

参照:

2009年12月17日            国立天文台・広報室

転載:ふくはらなおひと(福原直人)