福岡県久留米市の西山浩一 (にしやまこういち) さんと、佐賀県みやき町の椛島冨士夫 (かばしまふじお) さんが、11月23日 (世界時、以下同じ) の観測から、ろくぶんぎ座方向にある NGC 3423 銀河に15.1等の超新星を発見しました。
この天体は、11月23.779日前後に40センチメートル反射望遠鏡 (f/9.8) を用いて撮られた7枚のCCD画像 (限界等級20.3等) から発見されました。また、11月24.814日に撮られた10枚の画像 (限界等級19.8等) にも15.3等の明るさで写っていることが確認されています。
この発見は、国際天文学連合電報中央局に報告され、この超新星は「2009ls」と命名されました。
この天体の発見日時、位置、発見等級は次の通りです。
発見日時 2009年11月23.779日 = 11月23日18時42分 (世界時) 赤経 10時 51分 14.58秒 赤緯 +5度 50分 58.8秒 (2000年分点) 等級 15.1等
この超新星は NGC 3423 銀河の中心から東に3秒角、北に35秒角離れた位置にあります。
山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんは、11月6日にこの銀河を撮影していましたが、その画像 (限界等級は18.0等) にこの天体は写っていませんでした。
西山さんと椛島さんは、昨年の1月7日と1月16日にもこの場所を撮影していましたが、そのときの画像 (限界等級はそれぞれ19.3等、20.1等) には、この天体は写っていませんでした。またDSS (注1) の画像 (赤色と近赤外線乾板) にもこの天体は写っていませんでした。
なお、MDM天文台 (米国) の口径2.4メートルの反射望遠鏡によって11月25日に行われた分光観測の結果からは、この天体が若いII型 (
西山さんと椛島さんは、新星発見者として知られ、先月10月26日にいて座に新星を発見したばかりです。今回の超新星の発見はこれに続くもので、お二人にとっては初めての超新星の発見となりました。お二人のさらなる活躍を期待します。
注1:DSS (Digitized Sky Survey) は、米国にあるパロマー天文台のサミュエル・オシン・シュミット望遠鏡と、オーストラリアにあるアングロ・オーストラリア天文台の英国シュミット望遠鏡を用いて、全天を撮影し、デジタル化したもの。限界等級の値は天域によって変わるが、平均的には20等級前後の天体まで写っている。
注2:超新星とは星が大爆発を起こして通常の数億倍から数百億倍の明るさで輝く現象をいう。大きく分けて2つの種類が知られており、白色矮星 (はくしょくわいせい) が何らかの理由で限界質量を超えて爆発するものと、太陽よりもずっと重い星が一生の最期に重力崩壊を起こして爆発するものがある。スペクトルの特徴から、前者はIa型、後者はIb型、Ic型、II型と観測的に分類されている。
2009年11月27日 国立天文台・広報室