さそり座にも本年2個目の新星

著者 :山岡均(九大理)

いて座の隣にあるさそり座も、夏の天の川のただなかで、変光星や新星が数多く見つかっています。先日、いて座に本年2個目の新星が発見されました(VSOLJニュース239)が、さらにさそり座でも本年2個目の新星が発見されました。発見をいち早く報告したのは、いて座の場合と同じく、福岡県久留米市の西山浩一(にしやま こういち)さんと佐賀県みやき町の椛島冨士夫(かばしまふじお)さんのチームです。さらに、静岡県掛川市の西村栄男(にしむら ひでお)さん、群馬県嬬恋村の小嶋正(こじま ただし)さん、茨城県水戸市の櫻井幸 夫(さくらい ゆきお)さんもこの天体を独立に発見しています。

新星は、25日未明には13等よりも暗かったものが、26日未明には8〜9等ほどの明るさでとらえられました。新星の位置(西山さんたちによる)は、

赤経  16時55分13.16秒
赤緯 -38度03分46.9秒  (2000年分点)

です。

京都大学の前原裕之(まえはら ひろゆき)さんなどによってこの天体が分光観測され、強く幅広い水素輝線が見られることから、この天体が真に新星であることが報告されています。先日のいて座の新星と同様、膨張速度は4000km/sと速く、新星は爆発後早期にとらえられたものと思われます。

今後の天体の変化に興味が持たれるところです。

前原さんによる分光観測結果

参考文献:

2010年4月30日

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