いて座に本年2個目の新星

著者 :山岡均(九大理)

夏の天の川がひときわ濃いいて座は、銀河系の中心方向を含む星座です。星間に漂うチリやガスの影響で天体からの光が吸収されるため見通しは効きませんが、それでもたくさんの星があるため、変光星や新星が数多く見られます。そのいて座に、今年2個目の新星が発見されました。発見したのは、福岡県久留米市の西山浩一(にしやま こういち)さんと佐賀県みやき町の椛島冨士夫(かばしま ふじお)さんのチームで、これまでにも多数の新星を発見してきた捜索者です。

彼らは4月23.782日(世界時、以下同様)に撮影した画像上で、11.2等級の新しい光点に気付きました。23.791日に40cm望遠鏡で確認撮影した画像から求めた新天体の位置は、

赤経  17時53分02.98秒
赤緯 -28度12分19.4秒  (2000年分点)

です。天体は宮城県大崎市の遊佐徹(ゆさ とおる)さんによって存在確認され、公表されました。

茨城県つくば市の清田誠一郎(きよた せいいちろう)さん、京都大学の前原裕之(まえはら ひろゆき)さんは、この天体が非常に赤く、強い星間吸収を受けているのであろうとVSOLJに報告しています。さらに、岡山県倉敷市の藤井貢(ふじい みつぐ)さんはこの天体を分光観測し、強く幅広い水素輝線が見られることから、この天体が真に新星であることを見いだしています。膨張速度は4000 km/sと速く、新星は爆発後早期にとらえられたものと思われます。

今後の天体の変化に興味が持たれるところです。

参考文献

2010年4月25日

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