2008年最初のVSOLJニュース(187)では、日本で年明けを迎えた直後に神奈川県茅ヶ崎市にお住まいの広瀬洋治(ひろせようじ)さんが超新星を発見したことをお伝えしました。それからほぼ1年、その広瀬さんが、今度はくじら座の銀河NGC 1070に超新星2008ieを発見されました。
この超新星に世界で最初に気付いたのは、南米に観測拠点を持つチェイス(CHASE)プロジェクトチームで、12月15.16日(世界時、以下同様)に撮影した画像から新天体を発見しました。いっぽう広瀬さんは、それから約10時間後の15.56日に撮影した画像で、独立に超新星の存在に気付きました。超新星の位置(チェイスチームによる測定)は、
赤経: 2時43分20.80秒 赤緯:+ 4度58分19.1秒 (2000年分点)
で、NGC 1070の中心核からは西に22秒角、北に13秒角のところにあたります。これまでに報告されている明るさは、
12月 3日 >17.5C 広瀬 6.17日 17.1R チェイス 15.16日 16.4R 〃 15.56日 16.9C 広瀬
となっており、爆発から2週間は経っていないことが伺われますが、分光タイプの判別は今後の観測が待たれます。
広瀬さんの発見で始まった日本人による今年の超新星捜索は、これまた広瀬さんの発見によって終わるのでしょうか。それとも残り半月、他の捜索者によってまた別の超新星が発見されるのでしょうか。いずれにせよ、来年以降も日本のアマチュア天文家の活躍からは目が離せそうにありません。
参考文献:
- CBET 1618 (2008 Dec. 15)
2008年12月16日
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