いて座に新星が出現

著者 :山岡均(九大理)

夏の天の川がひときわ広く濃く見えるいて座は、私たちの銀河系の中心の方向で、数多くの星があります。星間吸収の影響を考えても、数多くの新星が出現する方角です。そのいて座に、新星が発見されました。発見したのは、福岡県久留米市の西山浩一(にしやまこういち)さんと佐賀県みやき町の椛島冨士夫(かばしまふじお)さんのおふたりのグループです。彼らは、先週も銀河系内の新星を発見しており(VSOLJニュース193)、たてつづけの発見になります。

新星らしき天体は、4月18.784日(世界時、以下同様)に撮影されたCCD画像上で8.4等の明るさで発見されました。40cm望遠鏡を用いて当日撮影した画像で測定された位置は、

赤経  18時05分58.88秒
赤緯 -27度13分56.0秒  (2000年分点)

です。14.805日には12.8等より明るい天体は見えなかったとのことです。また、愛知県豊橋市の長谷田勝美(はせだかつみ)さんは、15.743日撮影の画像には11.5等より明るい星は見えないと報告しています。増光から3日以内の、新鮮な天体ということになります。

増光前にこの位置をくわしく撮影した画像を見ても、20等より明るい天体は見られません。2万倍以上明るくなったことになり、古典新星の特徴に合致します。さらに、岡山県倉敷市の藤井貢さんが20日未明に撮影したスペクトルでは、水素の線が爆発天体特有の形を示しており、古典新星であることがはっきりわかります(vsilj 8912)。今後の明るさの推移が楽しみです。

新星の画像:
http://i176.photobucket.com/albums/w189/walcom77/Possible_Nova_Sgr.jpg
新星のスペクトル:
http://www1.harenet.ne.jp/~aikow/etc/pn_sgr_20080419.gif

参考文献:

2008年4月20日

※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利です。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が subscribe vsolj-news と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。