先ほど、除夜の鐘とともに発見された超新星についてニュースを書いた(VSOLJ ニュース (187))ばかりですが、それに引き続いて、新年を迎えてからの日本人アマチュア天文家による超新星発見が2件公表されました。発見者は、埼玉県比企郡吉見町の市村義美(いちむらよしみ)さんと、山形県山形市の板垣公一(いたがきこういち)さん、いずれもこれまで多数の天体発見の実績があるベテラン捜索者です。
市村さんは、1月2.54日(世界時、以下同様)に28cmシュミットカセグレン式望遠鏡を用いて撮影した画像から、17等ほどの明るさの超新星に気付きました。板垣さん、埼玉県上尾市の門田健一(かどたけんいち)さん、神奈川県茅ヶ崎市の広瀬洋治(ひろせようじ)さんによって3日に確認され、超新星2008Aの符号が付けられて公表されました。天体の位置(門田さんによる測定)は、
赤経 1時38分17.48秒 赤緯 +35度22分13.0秒 (2000年分点)
で、さんかく座の渦巻銀河NGC 634の中心から西に15秒角、北に19秒角離れたところにあたります。この銀河には昨年、超新星2006Qも出現しており、相次いでの出現となりました。
一方、板垣さんは、雪がちな山形の冬の天気を避けるために栃木県高根沢に設置した30cm反射望遠鏡を用いて、1月2.84日に撮影した画像に、16.4等の超新星を見いだし、翌3日に自身で確認して、超新星2008Bと命名されました。超新星の位置(板垣さん測定)は、
赤経 15時02分43.65秒 赤緯 +23度20分07.8秒 (2000年分点)
で、うしかい座の渦巻銀河NGC 5829の中心から23秒角東、7秒角北にあたります。この銀河は、もうひとつの銀河と近接遭遇して形が乱され、活発な星形成をしているところなので、今回の超新星も形成されて間もない大質量星がその短い生涯を終える時の爆発(重力崩壊型超新星)と考えられますが、超新星2008Aともども、今後の分光観測によるタイプ判別や光度変化の追跡が望まれます。
このところ、超新星は年間500個ほども発見されており、年間最初の発見は正月早々なされることが多くなっています。21年前の2月23日、大マゼラン銀河に出現した超新星1987Aは、この年最初に発見された超新星だったことを思い出すと、隔世の感があります。昨年最初の超新星2007Aは1月2日にPuckettさんたちが発見し、それに続く超新星2007B、2007Cは板垣さんが発見しました(それぞれ1月5日、7日)。また、2004年には、超新星2004A、2004Bをいずれも板垣さんが発見されています(それぞれ1月9日、12日)。日本のアマチュア天文家の方々の活躍には、目をみはるばかりです。
参考文献:
- CBET 1193 (2008 Jan. 3)
- CBET 1194 (2008 Jan. 3)
2008年1月4日