触覚銀河の腕に明るい超新星2007srが出現

著者 :山岡均(九大理)
連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

今年も残すところ10日ばかりとなって、あわただしい毎日です。この時期になって、今年1番の明るさである12.9等の超新星が発見されました。中口径の望遠鏡などで観測可能な明るさを保っているので、超新星の観測納めというのも良いかもしれません。

この超新星は、12月18.53日(世界時、以下同様)に、もともとは地球近傍小惑星の発見を目指しているカタリナ全天サーベイによって発見されました。発見時の明るさはおよそ12.9等、今年見つかった超新星のうちでは、発見前画像ではより明るかった超新星2007itを除いて、超新星2007gi(VSOLJニュース177)と並んで最も明るいものです。超新星の位置は、

赤経: 12時01分52.80秒
赤緯:-18度58分21.7秒 (2000年分点)

です。母銀河のNGC 4038は、もうひとつの銀河NGC 4039と衝突して形を大きく変えた渦巻銀河で、ふたつを総称して「触覚銀河」と呼ばれる、特異な形で有名なものです。超新星は、南に伸びる腕の上にあります。

衝突している銀河では星が数多く生まれており、寿命の短い大質量の星が生涯を終える重力崩壊型超新星が多数誕生すると期待されます。実際、この銀河ペアでは、これまで1921A、1974E、2004gtと3個の超新星が出現しており、最後のものは重力崩壊型だったことが判明しています。

ところが、12月19.87日に兵庫県立西はりま天文台の内藤博之(ないとうひろゆき)研究員と、卒業研究のため同天文台を訪れていた九州大学4年生の坂根悠介(さかねゆうすけ)さん、阿南徹(あなんてつ)さんたちが、この天体のスペクトル観測を行なったところ、この超新星は、重力崩壊型ではなく、白色矮星が核爆発を起こしたものであることが確認されました。極大の数日前と推測され、これから年末年始にかけて、今と同じか、それよりも明るい姿で見えることが期待されます。

今回のように近傍の銀河に超新星が出現することは数少ないことですので、今後の観測や画像の解析に注目が集まります。

参考文献:

2007年12月21日

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