ようやく全国的に梅雨が明け、夏空がまぶしい日々となりました。天体観測もこれから夏本番といったところでしょうか。そんな折、山形市の板垣公一(いたがきこういち)さんが、自身ことし5個目の超新星を発見されました。明るくなりつつある、爆発から間もない天体で、今後の動向が注目されます。
板垣さんは、60cm望遠鏡で7月31.49日(世界時、以下同様)に撮影した画像から、16.3等(CCD, フィルターなし)の新しい光点を発見しました。この天体は、ベラルーシのネフスキー(V. Nevski)さんによって31.923日に確認され、また板垣さんの観測では、翌8月1.468日には15.9等、さらに2.471日には15.5等と、着実に明るくなっています。天体の位置は、
赤経: 12時01分23.42秒 赤緯:+61度53分33.8秒 (2000年分点)
で、母銀河であるNGC 4036の23秒角西、11秒角南にあたります。
NGC 4036は、近年星の生成があまり起きていないと考えられる「レンズ状銀河」です。このような銀河では、寿命の短い大質量星を起源とする重力崩壊型超新星はまず発生しません。今回の超新星2007giは、核爆発型のものである可能性が高いと考えられます。銀河の距離を考えると、典型的な核爆発型超新星であれば13等級台にまで明るくなることが期待されます。今後の観測が楽しみです。
参考文献:
- CBET 1017 (2007 Aug 2)
2007年8月3日
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