山形の板垣さん、系外新星と超新星を同一夜に相次いで発見

著者 :山岡均(九大理)
連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

山形市の新天体捜索者板垣公一(いたがきこういち)さんは、3日前に超新星2006epを発見した(vsoljニュース(156))ばかりですが、9月3日には、一夜にして、アンドロメダ座大銀河M 31に系外新星を、くじら座の銀河NGC 232に超新星2006etを相次いで発見しました。異なる種類の天体を、一晩に発見したのは、おそらく他に例を見ない壮挙と言えるでしょう。

まず、M 31の新星です。新星の位置は、

赤経:  0時42分33.16秒
赤緯:+41度10分06.8秒  (2000年分点)

です。9月1.588日(世界時、以下同様)の板垣さんの観測では、20等級より明るい天体はなかったこの位置に、急速に明るくなり、そして暗くなっていった星がとらえられたのです。板垣さんの観測によると、

3.5161日	16.5等
3.5202日	16.4等
3.5384日	16.3等
3.5505日	16.2等
3.5631日	16.1等
3.5768日	16.0等

と、最も明るくなった後、

3.5976日	16.1等
3.6497日	16.2等
3.7915日	16.3等
3.7999日	16.4等

と、次第に暗くなっていくようすが見事に描き出されました。今夜はどれほどの明るさになっているでしょう。また、アンドロメダ座大銀河をこの数日以内に撮影された方がいらっしゃったら、ぜひこの新星をチェックしてみてほしいところです。

一方の超新星は、この系外新星の観測中に発見されました。くじら座の銀河NGC 232に現われたもので、3.77日に撮影した画像に16.1等で写っていました。8月30.68日に板垣さんが撮影した画像を改めて調べてみると、この天体が17.0等の姿を見せていたことが判明し、新天体であることが確実になったのです。

超新星の位置は、

赤経:  0時42分45.82秒
赤緯:-23度33分30.4秒 (2000年分点)

で、NGC 232の中心からほぼ真北に11秒角のところにあたります。今後のスペクトル型の観測などが楽しみです。

これまでに、同一夜に2つの彗星を発見した例(森敬明さんなど)、2つの超新星を発見された例(板垣さん自身など)はありますが、新星と超新星を一晩で発見されたというのは初耳です。世界的に見ても、類を見ない快挙と言えるでしょう。

参考文献

2006年9月4日

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